マンガ専門店、ブティック、画廊が立ち並ぶバスティーユのrue Kellerに昨年末からDJナイトのあるギャラリー〈Ivy Paris〉がオープン。月火以外の毎日お昼から午後7時まで普通の画廊として営業しているが、毎週土曜日の夜は、地下のスペースでDJWetというブルターニュ出身の女性DJがさまざまなジャンルの音を聞かせてくれる。 アメリカで12年間、展覧会の企画をしていたオブジェ作家のホワイティと、2年前にスコットランドからフランスに移り、創作活動をしているスザンヌの二人が中心になってこの企画を始めた。 「パリで発表する場をさがしているいろいろな国の若いアーティストのための集いの場」にすることが目的。帽子、洋服のデザイナー、映像作家、画家。さまざまなアーティストといっしょにスペースを運営。芸術に興味のある人々と作家たちとの出会いの場として、毎週土曜日の夜、サロンを開くことにした。数人の作家の作品をアトリエのように並べ、飲みながら食べながら、作家と直接会話をして作品を観賞できる。地下ではロウソクの明かりがクラブのような雰囲気の中、音楽に合わせて踊ったりもできる。(尚) 入場料15euros。19-23h。 25 rue Keller 11e 06.1740.8204 www.ivyparis.com 展示への問い合わせ info@ivyparis.com ●水口えみこトリオ |
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●Gonzales “Solo piano” (nof) ドイツ生まれのカナダ人ゴンザレスは、セックスの匂いをぷんぷんさせるピーチーズの熱唱とともに、エレクトロの世界にロックとソウルのビートをたたき込んだ天才。その彼がピアノソロ! 聴いてみてさらにびっくり。鍵盤に長身を折り曲げてつぶやくように弾いているに違いないゴンザレスのピアノから、静かで安らかな歌が流れ出る。俳句のような16の小品を聴いていくうちに、部屋の空気がゆるみ、心がゆっくりと開いていく。エリック・サティの後継者が21世紀初めに出現した! ナンニ・モレッティは『親愛なる日記』でスクーターに乗ってしか見えてこないローマの風景を描いたが、ゴンザレスは、彼特有の指使いからしか聞こえてこないような心象風景を表現している。たとえば朝。タフそうな男が一人でコーヒーを飲んでいる。窓からは、冬の空を背景に葉を落とした樹々の美しい枝ぶりが見える。澄んだ日差しが入り込んでくる。隣の部屋からは愛する女の寝息が聞こえてくる…。 このちょっと得体の知れない名盤をプロデュースしたのは、フランスの若いレーベル〈nof〉。拍手。
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●Beethoven “Symphonies 4 & 7” (Philips) 昨年亡くなった指揮者カルロス・クライバーの、見ているだけでもドキドキする名人芸を、得意としていたベートーヴェンの交響曲第4番と7番で堪能できる。演奏はコンセルトヘボウ管弦楽団。(真) |
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