3年ごとに議員(計331人)の3分の1(今年は128人)を選挙する上院議員の間接選挙が9月26日、32県で行われた。 上院le S始atは1850年代第二帝政期には議員の半数は大統領が任命、他は聖職者や元帥らからなり元老院とも訳されるのはそのためだろう。下院の国民議会とは内実ともに異なり、上院選挙に立候補できるのは35歳以上で、議員の平均年齢は55歳。そして上下院、地方圏・県・市議会までの代議員約5万2000人が投票する間接選挙。したがって派閥や人脈がものをいうわけだ。 1958年以来、保守派主導の上院だが、今回の選挙で与党UMP(民衆運動連合、元RPR)が6議席ほど失い(計157議席)絶対多数政党の座を退く。とはいえ中道派UDF(仏民主連合:32議席)他を合わせると右派陣営は計208議席。その中で新当選者にラファラン首相やフィヨン教育相がいる。支持率が30%と底をつき、シラク大統領にいつひまを出されるか分からない同首相の将来の身の置き場は上院に。春の地方選で落選した同教育相もラファラン内閣がいつ解散されてもいいように上院に席を確保。 フランスの政治家にとって上院がいかに便利な避難港であるか、その一例としてパスクワ元内務相(77)の当選が話題になっている。6月の欧州議会選挙で破れ、7月19日に議員特権を失ったパスクワ氏を待ちかまえていたのは6件の収賄・裏金資金疑惑の取り調べだ。同氏は90年代前半、内務相時代にアフリカ諸国との馴れ合い関係から息子氏(チュニジア在住)も絡むアンゴラへの武器輸出のコミッションから、ガボンなどから寄せられた選挙資金の収賄疑惑まで、予審判事が10年近く追及する政財界疑惑の中心人物なのだ。これらの取り調べを振り切るようにパスクワ氏は上院議員選挙の直前に立候補し、40年来の自分の縄張りオー・ド・セーヌ県で当選。彼はこれから6年間(イルドフランスと海外県選出者以外は任期9年)、議員特権というヨロイを着て多種疑惑の調査の手を追い払えるわけだ。 一方、左派勢力は、社会党が春以来、各選挙での好成績に次いで、上院議員選挙でも新当選者10人増で計93議席に。中でも2002年総選挙で破れ、2年間冷や飯生活を送った緑の党のヴォワネ元環境相が初めて上院議員となり、ユ共産党元書記長も政界にカムバック。女性議員も34人(11%)から57人(17%)に増え、今まで高齢男性中心だったリュクサンブール宮殿が5、6年若返り、紅がすこし密になったようだ。(君) |