ウトゥロー市の児童性的虐待裁判の悲劇。

 ベルギーで3月以来開かれている小児性愛者デュトゥルーの少女誘拐暴行連続殺人事件裁判と時を同じくして、語尾が偶然にも似ている仏北部ウトゥロー市の低家賃住宅に住むドレイ家族が、隣人や会ってもいない人まで50数人、児童18人をも巻き込んだ児童性的虐待容疑裁判が5月4日からパ・ド・カレ県の重罪院で開かれている。
 2000年暮れ、ドレイ家の男児4人の長男ディミトリ(当時7歳)が、福祉課係員に「パパは前のものをぼくの後ろに、ママは前のものをぼくの口の中に入れるの」と語ったことから、兄弟らはそれぞれ里親家庭に送られ2001年2月、両親ティエリー(40)とミリアム(33)は児童性的虐待、売春斡旋などの疑いで逮捕された。隣人のデルプランク夫婦も児童らの前で行った乱交についてビュルゴ予審判事に供述し勾留された。
 息子たちの性的虐待の告発は、医者から巡回パン屋のおばさん、その夫、同じ建物に住む女子学生や67歳の神父、ルグラン父子、法廷執行吏と、11人の児童(うち3人は自分の子)を強姦したとされる彼の妻・看護婦、母親をよく買い物に連れて行ったタクシー運転手まで50人以上におよぶ。そのうち17人が重罪裁判にかけられ、無実を叫ぶ13人は数月から3年以上勾留され、嫌疑をかけられた親たちの児童約30人は里親家庭に託された。7人の子どもを持つ父親(33)は2年前に拘置所内で自殺している。
 駆出しの若いビュルゴ予審判事は、ディミトリがクラスの友人の親まで次々にあげる容疑者の連座に興奮し「児童は嘘をつかない」とフランス版”デュトゥルー事件”と息巻く。母親は息子たちの証言を逐一認め、児童心理鑑定人もその信憑性を認める。が、幼い告発者と被疑者との対質尋問は一度もなされず口裏を合わせる主犯4人の前で、無実の叫びと弁護士の再鑑定の要求は予審判事の耳には入らず、推定無罪も無視され13人の被疑者たちは拘置所に放り込まれる。
 5月18日、母親が「すべて嘘、みんな無実です」と今までの証言をひるがえし法廷は動転。が、その一週間後にはそれを否定し裁判は混迷状態に陥る。27日、ついに裁判長は勾留中の7人を釈放。親から隔離された児童たちの法廷での証言が続くが、「集団ヒステリーと狂気の人質でした」と釈放後のヴィエル神父。予審判事の独り芝居に加え、司法機能の空隙もウトゥロー症候群を生んだ一因と言えないか。(君)



D i c o

Pédophilie
(女性名詞)
 
   péd(o)はギリシア語で「子供、少年」を意味し、philieは「愛する、好む」の意。したがってpédophilieはペドフィリア、つまり小児(性)愛、pédophileは小児(性)愛者のこと。ほかにped(o)で始まる単語には、pédiatre(小児科医)やpédopsychiatre(児童精神医)など。

 小児を対象にした性犯罪または性的虐待の8割は近親者によるという。来年3月からアンジェ市で始まるペドフィリア網容疑者裁判は男女66人、今までに判明しただけでも児童被害者は45人にのぼる。近親者・友人らによる集団的児童性犯罪なのかビデオカセットなどの販売網もあったのか、かなり大規模な裁判になりそう。(君)