春から夏にかけて子羊のシチューがうまい。 Navarin d’agneau printanier

 春から夏にかけて、柔らかな味わいがうれしい子羊肉。これと新野菜を煮込んでいくナヴァラン。フランス家庭の基本料理の一つで、ビストロなどで「本日の一品」として登場すると、客の半数以上が注文してしまう人気料理です。
 子羊の1キロちょっとの肩肉を、「Enlevez la palette S.V.P.」と頼んで肩甲骨をはずしてもらいます。余分の脂をそぎ落とし、大きめの角切りにし、塩、コショウ。
 ココットに油を大さじ3杯ほどとり、十分に熱くなったら肉を加える。強火で肉にきれいな焼き色をつけるのだが、砂糖を二つまみ加えると、それがカラメル化してソースがきれいな色に仕上がるし、いぶしたような風味が加わるからだ。肉にまんべんなく焼き色がついたところで、小麦粉を大さじ2杯ほど振りかけて混ぜ合わせる。全体がキツネ色になったら、水かトリガラのスープをヒタヒタになるように加える。鍋の底にこびりついたうま味を溶けこませるように、木のヘラで絶えずかき混ぜる。沸騰してきたら、湯むきしてみじんに切ったトマト4個、押しつぶしたニンニク2片、ブーケガルニを加え、塩とコショウで味を調える。再沸騰したら、フタをし、弱火に落として1時間ほど煮込んでいく。
 ここでひと口大に切ったニンジン2、3本とカブ4、5個、サクランボ大の新タマネギ10数個を加える。カブは煮くずれしやすいので、面倒でも面どりした方がいいだろう。さらに20分経ったら、皮をむいてからひと口大に切った(小さかったら丸ごと)新ジャガを500グラム加える。このジャガイモが、子羊肉や野菜のうま味と一つになって夢のようなおいしさになる。サヤインゲンやグリーンピース適量も加えたい。ジャガイモが柔らかくなったらでき上がり。表面に浮かんだ脂をていねいにすくって、パセリを散らしましょう。
 ワインは気張って、ボルドーやブルゴーニュの赤を開けたいなあ。(真)

子羊の肩肉一つ(1キロ少々)、完熟トマト4個、ニンジン2、3本、カブ4、5個、新小タマネギ10数個、新ジャガイモ500グラム、サヤインゲンやグリーンピース、ニンニク2片、ブーケ・ガルニ、油、砂糖、小麦粉、塩、コショウ


●Epaule d’agneau
 子羊の肩肉épaule d’agneauは、もも肉よりは値段が安く、1キロちょっとの重さなので、4人家族にちょうどいい。今回のレシピのように角切りにしてから煮込んでもおいしいし、丸ごとローストしてもいい。もも肉よりは脂が多いのでこってりとした味。肉屋さんで肩甲骨paletteをとり除いてもらうと、後の仕事が楽になる。
 挽いてから、みじんに切ったパン、卵、クミンパウダーやコリアンダーなどのスパイスを混ぜ入れて肉団子にしてもうまい。

●子羊の肩肉のロースト
 オーブンを220度から240度くらいの強火にして点火しておく。肩甲骨をとってもらった肩肉の表面にニンニクをこすりつけ、軽く塩、コショウ。オーブン皿にのせ、まわりに皮付きのままのニンニクを6、7片をおく。熱くなったオーブンに入れて、途中でひっくり返したり、焼き汁がたまってきたら肉の上にかけたりしながら、1.5キロの肩肉なら30分ちょっとで焼き上がる。真ん中が半焼きでバラ色の方が柔らかくてうまい。
 肩肉をとり出して、もう一度塩、コショウし、アルミホイルに包んでおく。オーブン皿の余分な脂を捨て、肉のまわりに置いておいたニンニクを押しつぶす。ここへ熱湯適量を加えて、底に付いているうま味を溶けこませて漉せば、素敵なソース。肉は食卓で切り分けましょう。付け合わせは、ゆでたサヤインゲンか白インゲン豆の煮込み。

●Tourner
 たとえば、tourner des navets en olivettesとレシピに出てきたらカブを面どりして、オリーブの形に揃えること。均一に煮上がるし煮くずれしにくい。
O U T I L
●Cocotte en fonte
 フランス料理と仲よくやっていきたいのなら、この鋳鉄製の厚鍋を買い求めたい。今回の子羊のシチューとか子牛のブランケット、牛肉の赤ワイン煮など、ゆっくりと弱火で煮込んでいく料理に欠かせない。圧力鍋では時間は短縮できても、思ったようなコクが出ません。フタが重く吹きこぼれないので、いったん火を弱くしたら目を離していても大丈夫。楕円形が使いやすい。50ユーロ前後から。