髪型がアイデンティティーを示す。 『Parures de tete』展



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 パリはモードに関する美術展も充実。現在なら、オランダ出身のデザイナー、ヴィクター&ロルフの回顧展(モード・テキスタイル美術館)や、マルレーネ・ディートリヒの衣装展(ガリエラ・モード美術館)などが、注目の高いところ。だが今回ご紹介するのは、ダぺール美術館で開催中のアフリカの伝統的な髪型を彫像で紹介する『Parures de tete』展だ。
 昨今、ちょうどイスラム教徒のスカーフ問題が再燃しているが、頭に何かをかぶったり、飾ったりすることは、社会的、歴史的に特別な意味を伴うことが多い。アフリカの多くの種族においては、伝統的に頭部は体の中で生命の中心と考えられ、最も注意が注がれる場所だった。髪型がその人の社会的地位、政治的・聖職的な役割、年齢や既婚か未婚かまでも雄弁に語る、いわばアイデンティティーそのものなのだ。
 たとえば、コンゴのヘンバ族の髪型
(写真1)は、四葉のクローバーを彷佛させる後頭部に大きな十字が走る。この十字型は東西南北を示す世界のメタファーで、中心部分は魂が交錯する場所を意味し、身分の高い人がする髪型だった。また、ナイジェリアのイボ族の女性は、嫁入り前の祝宴中や初めての出産後に、かぶとの頂き飾りのような、上方に高く立ち上がった髪型をする(写真2)。
 アフリカでも特にコンゴでは、髪型が日常の大きな関心ごとのひとつ。流行は日々進化し、無数のバリエーションで変化を遂げてゆくという。なかでも巨大なとさかが生えたような、遊牧民プル族の髪型は(写真3)、髪型への情熱と創造性を最も刺激したモデルといわれている。しかし、彼らの髪型のなんと個性的で、手が込んでいること!
 熟練者によって整えられるこれらのヘアスタイルは、完成までに何時間、何日間もかかるのだ。真珠や金、銀、ブロンズ、象牙を使いながら、三つ編み、縄編み、シニョンなどで引き立てたりと、方法も多種多様だ。前述のイボ族の女性の髪型は、粘土、木炭の粉、パーム油を使って細かな三つ編みをたくさん作った後、金属片を付け完成させるという入念さだ。
 フランスには、「Il faut souffrir pour etre belle 美人になるには大変な努力がいる」という有名な表現があるが、この言葉、アフリカ人の髪型への情熱にこそ当てはまりそうではないか。(瑞)

*2004年7月11日まで。(月火休)
Musee Dapper : 35 rue Paul Valery 16e
01.4500.0150 www.dapper.com.fr