なぜか、とても気に入った作品だ。 “Les Marins perdus”

 秋も深まりシーズンたけなわ、話題作の公開ラッシュ中、『Les Marins perdus/ 迷子の船乗り』という地味な作品が(周囲の評判は決して良くないのだが)何故か(吉)はとても気に入ってる。
 破産してマルセイユ港に釘付け状態の貨物船、アルデバラン号が舞台。給与を受け取って下船して行く乗組員たち、船長のアジズ(ミキ・マノイロヴィッチ)とディアマンティス(ベルナール・ジロドー)だけが船に残る。陸に上がりたくない理由でもあるのか? 相手を尊重しながらも品定めをしているようなムサ苦しい中年男二人。そこに若い船員、ネディム(セルジオ・ペリ=メンシュタ)が舞い戻って来る。街で娼婦にいっぱい喰わされ金を巻き上げられたのだ…。
 女性監督クレール・ドゥヴェールが描く世界には、原作(ジャン=クロード・イッゾ)があるとはいえ、男の色気がむんむん。そこに(吉)は惹かれたのか !?
 女性も登場する。ディアマンティスに心の安らぎを与えるマリエット(マリー・トランティニャン)、ネディムを騙したものの彼を追っかけて来る心根が優しいライラ(オードレイ・トトゥ)。彼女を船に招いたことが悲劇の引き金になるのではあるが…。海の男たちは、女に対して不器用、その反動で女嫌いになるのか、女関係で失敗したから海に逃れたのか? 並のフランス映画が手を変え品を変え恋愛やパッションを描く中で、この作品は異彩を放つ。男と女の関係性を探りつつ「男」を描こうとしているからだ。
 ベテラン三人の好演も見ものだが、若さとナイーヴさを体現するセルジオ・ペリ=メンシュタに大注目。スター、オードレイ・トトゥの作品選択にも感心。『Dirty pretty things』もそうだったが、社会の底辺で生きる女性を熱演。(吉)


 

 


 

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