おたがいに助け合うという気持ちが生まれてくる。
団地生活は簡単ではない。隣人とのトラブルもよくあるし、コミュニケーションもいつもうまくいくとは限らない。隣のアパートに住んでいる人との関係は、騒音、水漏れなどの苦情で終わったりする。同じ建物に住んでいる人をどれだけ知っているだろうか?
そのうちの一人と最後に話したのはいつのことだったろうか?
5年前、こんな隣人関係を変えなくては、と私が住んでいる団地にアパートを所有している数人が、年に一回の大パーティーを行い、所有者、借家人の区別なく住人全員を招待することを、思いついた。
この団地には建物が9棟あり、440のアパート、2000人あまりが住んでいる。まず幹事が選ばれるが、その中では、建物の住人を知りつくしている管理人が大切な役割を演じることになる。予算は500ユーロで、これでパーティーに必要な食器その他、それに食料品少々を買うことができるが、参加者全員分の飲み物、食べ物は無理。そこで、この団地の改装工事などを常々請け負っている会社が、シャンペンを寄付してくれている。食べ物は参加者が、ソーシソン、野菜のタルト、ケーキなど、それぞれ持ち寄ることになっている。
パーティーはできるだけ多くの人が参加できるように、9月末に行われ、子供たちも加わることができるように、翌日学校がない火曜日の夜ということになっていて、毎年、住人の約半数がこのパーティーに参加している。隣人と交流ができる大切な機会で、話がはずむ。何よりもパーティーなのだからということで、トラブルなどの話題は避けられるが、こういう機会を持ったことが、いざというときに、隣人関係の問題解決に役立つことは間違いない。また、このパーティーを通じてお互いに共通点を見出すこともできる。たとえば、それぞれ子どもを持っていて、同じ学校に通っていたりする。そこで子どもたちの送り迎えを助け合ったりできるように。
私たちの建物では、これまで隣人関係のトラブルがあったことがない。それぞれが隣人のことを考えている。今では、時々夕食に招待し合ったりもする。新しく引っ越してきた人がいると、必ず歓迎のあいさつに行くことも忘れない。この心がけが、現在では団地全体に行きわたったこのパーティーのかなめになっているのだろう。(クロード)
風船がパーティーの雰囲気を盛り上げています。ごちそうが並び、子どもたちも楽しそう。
最初の15分間は、このパーティーを提案した3人だけしか中庭にいなかったけれど、そしたら急に、この建物に住む50人近い人が降りてきてくれて、楽しいパーティーが始まってほっと胸をなでおろした。
クロディーヌ(カーニュ・シュル・メール)
バルニ通りの今晩のメニューは、アコーデオン、バーベキュー、そして上機嫌な会話…
キャロル(リール)
私はここに住んで7年ですが、だれも知り合いはいませんでした。でも、それも今晩まで!いい隣人に出会い、話ができました。
ソランジュ(パリ)
このお祭りのおかげで、団地の雰囲気が一新した。これまで、お年寄りたちは若者を怖がっていたけれど、今では話をするようになった。
カメル(ブザンソン)
グッドアイデアだった! 来年もやりたいなあ。次は、自己紹介しやすいように名前と住んでいる階を書いたバッジをつけるのはどうだろう。
クリストフ(アヴィニョン)
同じ年ごろの隣人と知り合えた。そして今は恋人同士。このパーティーがなかったら声をかける勇気はなかったと思う。
エミリー(レンヌ)