こんな日本映画がパリでは当たる。 “Une Adolescente”

 本紙3/1日号の仏文ページで取り上げられていた『少女/Une Adolescente』を観てきた。ふ~むなるほど…昨年のパリ映画祭を初め、海外の映画祭で好評を博してきた理由が分かる気がした。
 田舎町の中年の巡査(奥田瑛二)と15歳の少女(小川まゆ)のエロスを介した純愛物語…。この巡査、公僕にしてはいかがわしい、大体、背中にあんな凄い刺青があるなんてその筋の人が見てもびっくり仰天だ。少女の方はと言えば、色情狂の母(夏木マリ)と知恵遅れの兄に挟まれて、葬儀屋の祖父(室田日出男)の手伝いをしているという大変な環境の中でけなげに生きている。少女の方から「ねえ、おじさん、セックスしない?」と高校生売春の振りをして巡査にアプローチする。のちのち彼女は優しさに包まれたくて彼に接近したのだと分かるのだが…(事が起きて、理由が後付で解説され、事が成就するには妨害要素が多すぎて、それをどうクリアしていくかという構成)。葬儀屋の祖父は刺青師でもあり、巡査の背中は彼の作。その背中の雄鳥と対の雌鳥を彫って欲しいと少女は祖父に懇願する。これが最後のクライマックス。
 まあ、こう言っては何ですが、このレベルの出来の日本映画は他にもいっぱいある。けど、この作品が海外進出に成功したのは、このテーマ(日本的=四畳半的なエロス&イレズミ)のお陰だ。でも、企画・製作・初監督&主演の奥田瑛二はそこを狙って作ったわけではなさそうだ。何しろ、彼が連城三紀彦の同名短編小説の映画化権を、神代辰巳監督を想定して取得したのは15年以上前のことだというのだから、ある種、真摯な執念を感じる。神代が撮っていたらまた全く違った作品になっていたであろうが、死んでしまったからしょうがない。(吉)