北アフリカの代表的料理〈タジン〉とは、帽子のような円すい型のフタが特徴のタジン鍋で作る煮込み料理。野菜と一緒にじっくり蒸し煮にした肉は、とろけるように柔らかく、寒い冬の夜にもぴったり。5区、ゴブラン駅そばにあるLa Nostalgie du Berbèreは、絶品のタジンが種類豊富にそろったモロッコ料理店だ。
まず前菜に選んだパスティラ(7€)は、野菜と肉、アーモンドが入ったサクサクとした揚げ物。たっぷり振りかけられた粉砂糖に驚くが、塩味と甘味、香り高いスパイスのバランスが絶妙で、くせになる味だ。ワインは、グリと呼ばれるチュニジアのロゼ(14.90€)を1本。果実味がすばらしく、料理との相性もいい。
さて、タジンの登場はちょっとした興奮の瞬間。いつも陽気なオーナー、カメルさんが、ジュージューと音をたて続けるアツアツのタジン鍋を目の前に。そして、さっとフタをあけると、前が見えなくなるほどの湯気がいっせいに飛び出した。タジン・ベルベル(14.5€)は、子羊の肉とインゲンやじゃがいも、トマトなどの野菜がこんもりと盛られた、ボリューム十分のタジン。サービスのクスクス粒を加えて混ぜれば、スープも残さず最後までおいしく食べられ、体もあたたまる。他に、レモンとともに煮込んだ地中海らしいさわやかな海老のタジン、仕入れによって替わる魚のタジンもおすすめ。
もちろんメニューには、各種クスクスもある。数あるモロッコ料理店の中でも、料理、サービスがよく、小さいながらも親しみやすい雰囲気もうれしい。(ゆ)
La Nostalgie du Berbere
Adresse : 12 bis bd de Port Royal, 75005 Paris , FranceTEL : 01.4331.9769
12h-14h/19h-23h(金昼・月休み)