Fondue comtoise
冬は、みんなでテーブルを囲んでふーふーいいながら鍋料理、というのが一番だが、フランスではそれに該当する料理はほとんどなく、例外はフォンデュくらい。フォンデュといえば、サヴォワ地方のチーズ、ボフォールなどをおろしたものに白ワインを加えて火にかけ、とろとろに溶けたら、パンに絡めて味わうサヴォワ風fondue savoyardeが名高い。今回は、ボフォールのかわりにフランシュ・コンテ地方のチーズ、コンテを使うのでfondue comtoiseです。
4人分としてコンテ600グラムをおろす。バゲットパン1本を小さく切り分けておく。コーンスターチ小さじ1杯を白ワイン250ccで溶いておく。鍋は専用の土鍋が市販されているけれど、なかったら、ホーロー引きの厚鍋でもかまわない。
切れ目を入れたニンニクで鍋の底をまんべんなくこする(ニンニク好きなら1片をおろして入れてもいい)。ここへチーズと白ワインを加え、中火にかけ、木のへらで絶えず混ぜ合わせていく。5分もすると、チーズとワインがすっかり一つに溶け合ってどろどろの状態になるだろう。ぐつぐつ沸騰させてはいけない。塩とコショウで味を調え、ナツメグもおろして加える。
これをテーブルの中央に置いたコンロに移し、あとは、ワイワイガヤガヤ、次から次へとフォークにパンを刺してフォンデュを絡め、口に運ぶだけ…楽しいフォンデュパーティーの始まりだ。栄養のバランスをとるために、レタス、トマト、キュウリ、マッシュルームなどが入ったミックスサラダをたっぷり添えることにしたい。
チーズは、エマンタールやグリュイエール、あるいはカンタルでもおいしくできる。ブルーチーズを加えるのも面白い。自分なりのブレンドを考案するのも楽しいことだ。ワインは、フランシュ・コンテ地方のフルーティーな赤、アルボワなら文句のつけようがないだろう。(真)
キャロット・ラペの作り方
読者の方から「西洋版なますcarottes rapéesの作り方を教えてほしい」という便りが届いた。
まずニンジンを細くせん切りにしたり、おろしたりする。ふつうフランスでは、なますを作るときのように塩もみはしないけれど、歯ざわりが柔らかいものを好む人は、ニンジンに塩を振って軽くもんでしばらくおき、さっと冷水で洗ってから水気をよく切る。自分の好みのワインビネガーを使ってビネグレットソースを用意する(下欄参照)。好みではレモンの搾り汁と半々にするのもいい。味を柔らかくしたいなら、生クリームを少々加える。このソースでニンジンを和えればでき上がりだ。パセリを散らして食卓へ。ぬるま湯でふっくらさせて水気を切っておいた干しブドウを加えるのもうまい。
●fondue bourguignonne
ブルゴーニュ風と呼ばれるフォンデュは、肉好きのフランス人には素晴らしいごちそう。テーブル中央の鍋の中では油が熱くなっている。小さめの角切りにしておいた牛肉(脂が少ないヒレ肉filetやランプrumsteckなどが向いている)を、長い柄のついたフォークに刺して、油の中に入れ、好みの焼き(揚げ)具合になったら、さまざまなソースをつけてほおばる。ソースはタラゴンの入ったベアルネーズ、ニンニク風味のアイオリ、タバスコをきかせたバーベキュー風などがおすすめだ。ピクルスやチャツネなども添えたい。熱々の油は危険なので、コンロや長いフォークもついてセットになっている、重たくて座りのいい専用鍋を使いたい。サーモスタット付きの電気式もあります。
●台所のフランス語|sauce vinaigrette
サラダの基本的なドレッシングがビネグレットソースsauce vinaigrette。大さじ1杯のワインビネガーvinaigre de vin、やシェリー酒ビネガーvinaigre de xérès、あるいはシードル酒ビネガーvinaigre de cidreをサラダボールにとる。
香りがなく酸度が強いだけのアルコールビネガーvinaigre d’alcoolは避けたい。塩少々をビネガーと混ぜ合わせる(油を最初から入れると塩が溶けないので要注意)。ここへ、オリーブ油huile d’oliveやヒマワリ油huile de tournesol、あるいはクルミ油huile de noixなど好みの油を大さじ3杯加えてよく混ぜ合わせ、コショウ少々を挽き入れる。ビネガーのかわりにレモンの搾り汁、油のかわりに生クリームにしてもいい。好みに応じてエシャロットや香草、ニンニクやケイパーなども加えて、おいしいビネグレットソースを作りましょう。