マダム・L、HERMES ケリーバッグお買上げ。

 「ケリーバッグを買う」と意気込むマダム・Lにくっついてドルオー競売所へ。
 彼女は定期購読している週刊オークション情報誌 “La Gazette de l’Hotel Drouot” で、黒のケリーバッグが競りにかけられることを知った。

 マダム・Lの競売初体験は23年前。今は1カ月に2回の頻度でドルオーへ。「オークションが大好き。面白い物を発見するのが楽しいわ」

 では、さっそく会場へ! 賑わうドルオーの建物内。たいてい競売前日と前々日、そして競売当日に、競りに出される品物の展示がある。ドルオーでは午前中は展示で、午後は同じ部屋が競売会場になる。「モード」と題された競売室へ入ると、毛皮のコート、時計やバッグ、アクセサリーを手にとって試す50代から80代の女性多数と、連れて来られたらしき男性数人。マダム・Lは競売品リストを入手し、気になるものはその番号札を見て、リストで評価額をチェック。

 お目当てバッグは競売品番号92、鑑定家の値踏みは600~700ユーロ。ガラスケースから出してもらい手にとって熟視。皮はスタンダードなボックスカーフ、幅32センチ。パリの店で同仕様の新品を買えば約3600ユーロ、予約から入手まで4、5カ月待ち(日本では3年から5年待ち)。

 中古バッグの値段を左右するのはまず保存状態。鑑定家ションベール氏いわく「これは20年前ほど前のもの。角の小さなかすり傷、内側のエルメスの金文字が消えているのでこの評価額」

 展示は正午で終了。競り開始の14時半まで会場前のビストロでフルコースの昼食。…「2~3年前から欲しいと思っていたケリーバッグ。アンデモダーブル(流行に左右されない)だもの!」

 いくらまで出しますか? 「800ユーロ」。いざ、出陣。

 競り開始。有名ブランドのコート、バッグ、ベルトがどんどん競り落される。いよいよケリーバッグ。500ユーロで始まり「600」「700」「800」値段は上がる…「850」「900」…「900で後ろのマダム!」と競売吏。20秒ほどの出来事だった。マダム・Lはケリーを入手。額面無記入の小切手を係員に渡し(「信頼してるから」)バッグをもらって、競売の続く熱気溢れる部屋を出る。小切手には19.6%の付加価値税が加算されて記入され、その額がマダム・Lの口座から引き落とされることになる。
 「嬉しいわ。900ユーロだけれど、この機会を逃したらいつ買えるか分からない。この遊びの感覚がまた楽しいのよね、競売は」。外は雨。900ユーロのおカバンに落ちる滴も気にせず、家路を急ぐマダム・Lであった。(美)


*Hotel Drouot-Richelieu :
9 rue Drouot 9e 01.4800.2020

現在「ケリーバッグ」と呼ばれているものは、1930年に「サック・ア・デペーシュ」の名で発売された。グレース・ケリーが愛用し、モナコのレーニエ3世と結婚した1956年からケリーバッグと呼ばれるようになった。一つのバッグで2500針の手縫いが施され、15~20時間の作業が要される。

【エルメスばかり700~800点大オークション】
展示:5月18日(金)、19日(土)
競売:5月20日(日)、21日(月)
問合せとカタログ(無料)請求は
メールかファックスでCabinet d’Expertise D.CHOMBERT – S.STERNBACHへ。
chombert-sternbach@etxe.fr
tel:01.4247.1244 / fax:01.4022.0736
【待たずに、即座にケリーを買いたい】
-Voyage(Louvre des Antiquaires内)
2 place du Palais-Royal 1er 01.4945.0956
クリニャンクール蚤の市のMarche Serpette内にもスタンド有。