レモンのコンフィ入り、モロッコ風トリの煮込み。 Poulet aux citrons confits

 ニコルさんは、高校を出るまでモロッコに住んでいたこともあり、彼女の家に招かれると、ときどきモロッコ料理が顔を出す。先日は、レモンのコンフィと緑のオリーブがたっぷり入ったトリの煮込みだった。うまい! 「タジン用の土器で作れば外見はもっとモロッコ風になるけれど、鋳鉄の厚鍋cocotte でも同じようにおいしくできます」

 アラブの食料品に出かけて、レモンのコンフィ3個、種抜き緑のオリーブ250グラムを買ってくる。新鮮なコリアンダー1把とサフラン少々も必要だ。トリは大きめのものを1羽買って、八つに切り分けてもらう。
 厚鍋にたっぷりとオリーブ油をとり、せん切りにしたタマネギ中5個を炒めていく。透明になってきたら、みじんに切ったニンニク1片とコリアンダーの葉大さじ2杯分、それに細かく切ったレモンのコンフィ1個を加える。トリを加え、サフランふたつまみを散らし、水をカップ1杯注ぐ。塩、コショウ。レモンのコンフィも、後で入れる緑のオリーブもかなりの塩味なので、ここでの塩は控えめに。
 沸騰したら全体を混ぜ合わせ、フタをして煮ていく。トリがやわらかく煮え上がってきたら、一つを六つに切り分けたたレモンのコンフィ2個と、緑のオリーブを加える。再沸騰してきたら、火を落とし、全体の味がなじむように、もう10分ほど火を通す。塩加減をみ、最後にコリアンダーの葉をたっぷり散らせばでき上がりだ。
 そのままをどーんと食卓に出し、フタをとると、食欲をそそるレモンのコンフィ特有の匂いが流れ出る。口に含むと、ニンニク、サフラン、コリアンダーの風味が、レモンのコンフィのそれとみごとに調和して、混沌とした味わいになっている。「この味がモロッコ料理の秘訣」とニコルさんはニッコリ。付け合わせはごはん。ワインは、モロッコ産のフルーティーなグリ(ロゼ)でした。(真)


●レモンのコンフィcitrons confits

 レモンのコンフィというと特殊な食材のようだが、なんということはないレモンの塩漬け。丸ごとのレモンに、数カ所切れ目を入れて塩をなすりつけ、しばらく置いて水が上がってきたら、重しをかける、と作り方も漬け物そっくり。朝市などで、各種オリーブを売っているような店に置いてあり、ふつうオリーブと同じ値段(キロ4前後)で売られている。

●おつまみに各種オリーブ olives

 ついでに各種オリーブも買って、アペリチフのお供に。ちび黒、大きくふっくら黒、しわしわ黒、種抜き黒、緑、種抜き緑、赤ピーマン詰め緑、紫、ニンニク風味、唐辛子風味、エルブ・ド・プロヴァンス風味…。同じ値段なので、好みの味を取り合わせてもらうのがいい。

台所の本
●山本ゆりこ著

《パリのカフェとサロン・ド・テ》

 副題に「パリジェンヌのように楽しみたい」とあるけれど、ボリュームたっぷりの料理でワインを大いに楽しみたいという〈パリの男性〉ではなく、ちょっとおしゃれをして、友人と食事やケーキを楽しみたい〈パリの女性〉向け、ということなのかな。パリの雰囲気に敏感な著者が紹介する50軒あまりのお店は、店構えも気が利いているし、料理もきれい。特に注目したいのは、日曜日にちょっと朝寝坊したときなどに出かけて、ゆっくりブランチというお店8軒。〈パリの男性〉になったつもりのボクにも、すぐに行ってみたい店が、何軒か見つかった!

 巻末にある外食する時に便利なフランス語入門もよくできている。ただ、この本はユーロ切り替えの時期に書かれたため、当時ユーロでの値段を決めてなかった店が多く、値段を掲載できなかったというのが、ちょっと残念。(真)

文化出版局発行

1500円(税別)