今回はイタリア風に子羊肉を煮込んでみよう。 Agneau braise au vin blanc

 474号で紹介したイタリア料理のレシピ本に出ていました。もう3回も作ってしまったくらいに家族への評判がよく、煮直した方がうまいくらいなので、友人がやってくる時にも前日に作り置きができて便利です。
 子羊の肉は4~6人分として1キロちょっとほしいが、肩一つ、あるいは予算が許すならモモ一つを買ってきて、肉を骨からはずし(この作業が面倒な人は肉屋さんに笑顔で頼むこと)、大きめの角切りにする。モモ一つだと肉が半分近く余ってしまうけれど、残りは串焼きにしたりステーキにして楽しむことにしましょう。
 なるべく大きなココット (厚鍋) にオリーブ油を大さじ3杯とる。油漬けになっているアンチョビー5枚、唐辛子の粉poivre de Cayenne小さじ半杯を加える。火は強火。油に唐辛子の色がついたところで、肉を加えてまんべんなく焼き色をつける。油の温度が下がりすぎないように2回に分けてやるといい。塩、コショウ。
 ここで辛口の白ワイン250cc、ワインビネガー大さじ6杯、みじん切りにしたニンニク4片を加え、沸騰したら弱火に落としてフタをし、コトコト1時間ほど煮込んでいく。
 柔らかくなった肉だけを取り出し、アルミホイルなどで覆って冷めないようにしておき、煮汁を素晴らしいソースに変貌させることにしよう。ボールにアンチョビー5枚、唐辛子の粉小さじ半杯、オレガノ小さじ半杯、小麦粉小さじ1杯を入れ、煮汁少々で溶く。これをココットの煮汁に加え、泡立て器でかき混ぜながら、グツグツというまで火を通す。ここで味見をして、必要なら塩、コショウで味を調える。ピリッと辛く、アンチョビーの風味もきいたソースのおいしさに、われながらビックリ!
 付け合わせには、ゆでたり、オーブンでローストしたジャガイモがいいでしょう。ワインは年代物のキャンティだったら文句なしです。(真)


●アンチョビーanchois
 アンチョビーはかたくちいわしの類で15センチほどの海魚。たまに新鮮な生ものanchois fraisが魚屋に並ぶことがある。瓶入りになった塩漬けアンチョビーanchois salés、あるいは缶詰の油漬けアンチョビーanchois à l’huileはスーパーで簡単に手に入る。油漬けのものはほとんどがおろし身filetsの形になっている。塩漬けは塩がきついので、冷水にしばらくつけて塩出しをする必要がある。また、小骨は食べるときに気になるので、調理する前に丁寧にとりのぞきたい。チューブに入ったペースト状のcrême d’anchoisは、アンチョビー風味のソースを作ったり、前回のようにパイ生地に塗ってから焼いたり、緑のオリーブに詰めたりするときなどに手軽です。運よく新鮮なアンチョビーが手に入ったら、揚げたり、マリネを作りたい。

●アンチョビーのマリネ
 アンチョビーがないときは、もちろんイワシでもおいしくできる。三枚におろし、汚れをクッキングペーパーなどで丁寧にぬぐい、軽く塩を振っておく。

 オリーブ油とその半量のレモンの搾り汁かワインビネガー、せん切りにしたレモンやオレンジの皮、緑のところも捨てずにみじん切りにした白玉ネギ、丁字1、2本、細かく切ったローリエの葉1、2枚、コショウ、以上をボールにとり、混ぜ合わせてマリナードを作り、2時間ほどおいておく。コニャックやシェリー酒などを加えてもいい。とにかく、レモンの皮のかわりにオレンジの皮にしたり、アネットやコリアンダー、唐辛子を加えたりなどと、自慢の味を工夫するのが、マリネの楽しさなのだ。

 マリナードの1/3をテリーヌ用の器などの下に敷き、半量の魚を並べる。もう1/3のマリナードで覆ったら、残りの魚を並べ、さらに残りのマリナードで覆う。これで少なくとも半日はマリネ。トーストした田舎パン、バター、粗塩を添えて器ごと食卓に出しましょう。