瓶詰めの水の消費が増大中。
現在、三人に一人のフランス人が、水道水を飲まなくなっている。この傾向は強まるばかりだが、それには、いくつかの理由が考えられる。一つには、水道水がこの数年間で大幅に値上がりしたことで(1990~95年で75%増)、多くのフランス人が水道の消費量を控えるようになった。もう一つの理由は、飲料に適するために、水道水にさまざまな添加物が加えられ、味がまずくなっていることだ。自然志向に敏感な消費者たちは、化学的処理をいっさい受けていない瓶詰めの水を好んで買うようになった。
水を瓶詰めにして商品化している企業も、彼らの製品の自然さをアッピールする。たとえば、ヴォルヴィックは、その水源を囲む自然の純粋さを伝えることに力を入れている。エヴィアンは、自然の味を保つための努力を繰り返し強調している。水を商品化している企業が、これほどまでに製品のイメージに気を配るのは、巨大な利益がかかっているからだ。瓶詰めの水の消費者は年7~8%の割合で増え、現在、フランス人は、年平均270リットルを飲んでいる。
数年前、不注意により何本かのペリエが汚染された際、市場に出回っていたほとんどのペリエが回収され、企業にとっては膨大な損失になった。その後も、ペリエは、イメージ回復に長い時間がかかった。
この巨大な利潤を見込んで、農産物加工業の大手がこの分野に入り込んでいる。ダノン社やネッスル社は、多額の出資をし、数多くのミネラルウオーターを系列下に置いた。
飲み終わったペット・ボトルは簡単に押しつぶせるようになった。
ミネラルウオーターで食事。
1997年に開店して以来、新しもの好きに受けているセレクト・ショップ “Colette”は、地下に “Water-Bar”をオープン。世界各国から集められた80種類のミネラルウオーター(そのうち45種類が発泡性)を味見できる。すべてペットボトルではなくガラス製の瓶詰め(500cc)で3~5€。水の味にうるさい通がやってきて、水ならではのソムリエ用語を作りだしている。たとえば、色は「輝いている」とか「明澄だ」。匂いは「鉱物的」とか「さわやか」。口にふくんだ感じは「硬い」、「まろやか」、「長い」あるいは「短い」。味は「アルカリ性」、「にがい」、「岩石質の」、「しょっぱい」…。
これらの水の付け合わせとして、タルトやラザーニャなどの簡単な料理も用意されている(10~11€)。地中海風サラダがたっぷりついた魚のマリナードがおいしかった。内装はクールすぎるが、水を “飲めない” 人には、ワインもいくつか用意されている(3€/13cc)。
*213 rue Saint-Honore 1er 01.5535.3390
ミネラルウオーターの瓶のラベルには、
その水が含むミネラル分の正確な値が明記されている。