Maison Micro を読んで

四月一日号の「私の好きな店」Maison Micro を読んで、古い記憶が蘇ってきました。
一九七二年から七三年にかけて七カ月間この店のご主人が所有するステュディオを借りていました。店の上の四階か五階で、窓からルーヴルの建物が見え、下には大家さんの娘夫婦が住んでいました。
ある日曜のこと、私が髪を洗っていた時、娘さんが蒼い顔をしてかけ上がってきました。写真を撮ろうとして赤ちゃんを椅子に腰掛けさせたら、転げ落ちて頭のてっぺんがへこんでしまったというのです。その日はギリシャ人の集まりでご主人もホームドクターもあるホテルの宴会場に行っているので、二人を呼びに行ってくれと頼まれました。それは一大事、と私は急いで髪を拭き、着のみ着のままタクシーでホテルに行きました。
宴はたけなわ、当時流行っていた「日曜はダメよ」という音楽が流れ、人びとは賑やかに食事を楽しんでいました。髪がバサバサなので、ボーイさんに頼み、赤ちゃんのパパを呼びだしてもらいました。
翌日、下の娘さんが大きな花束を抱えてお礼に来てくれました。生まれたばかりの赤ちゃんは頭の中央が柔らかくペコペコしており、へこんだのは椅子から落ちたからでなく怪我もなかったということで安心しました。
そのときの赤ちゃんは三代目の現在のご主人でしょうか。椅子から転げ落ちた赤ちゃんは男の子か女の子か忘れましたが、今は三十歳になるでしょう。(レニエ康子)


 

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