抽象絵画への道。 Mondrian de 1892 a 1914 Les Chemins de l’abstraction

 アーティストが、未知の独自のスタイルを見つけるため、試行錯誤している時期の作品は刺激的だ。そこには惑い、ためらい、失敗と発見がある。また、彼の中に育ち続けるであろう芽が見える。
 この展覧会は、20世紀の偉大な抽象画家の一人、オランダ人ピート・モンドリアン(1872-1944)が抽象表現に到達するまでの道程を辿るものだ。行き着く先は、誰もが知るあのモンドリアン・スタイル。新造形主義(=モンドリアン・スタイル)の最初の作品は1920年、彼が48歳の時に制作されているが、ここにはオランダ時代からパリ滞在時代の1892年から1914年までの作品が展示されている。様々に形を変えた実験の数々。だが、そこには常にある方向性が潜んでいることがわかる。
 オランダ時代のモンドリアンは、当時流行していた自然主義スタイルで風景や静物を描いていた。暗い色調の作品にはすでに輪郭の重視や、農場の風景をほとんど真っ黒に表現するなどの省略が垣間見られる。のち、神智学の影響を受けて象徴主義へと方向を変えていく。ここでは、色、形体、線を対象から独立させ、内包する霊性とそのイメージを表現しようとしている。この時期の作品『森』と『村の教会』には、その後長年描きつづける「木」が含まれているが、それはフォルムの形式化に貢献していくのだった。
 続いて彼が影響を受けたのは、様々な色と強力な表現方法を呈する晩年のゴッホや野獣派の作品。この段階で自然主義を離れ、主題の象徴化に成功している。
 しかし、パリ滞在中1913年に出会ったピカソやブラックのキュビスムほどモンドリアンに強烈に影響を与えたものはないだろう。彼は直ちにそれに没頭するものの、異なる方向へ帆先を変えていく。それはより厳密で、無駄の無い世界だ。そして…彼が求める芸術の本質に到達する決定的で美しい瞬間が来る。モンドリアンのキュビスムは、対象をイメージに昇華させて「作品」という実体に移行し、その中でフォルムと色だけを用いて表現することだった。また、分解したフォルムを水平・垂直線で再構成することにあった。さあ、ついにモンドリアン・スタイル=新造形主義にあと一歩というところまで来た!(ヤン/ 訳:仙)

オルセー美術館 7/14日迄(月休)

” Fragilisme”
 ”Fragilisme” とは、主催者側によると「あらゆるものの “Fragilite”(弱さ/脆さ/不安定さ/はかなさ)」を表すとのこと。あまりにも大雑把で曖昧な定義ではあるが、とにかくこのタイトルのもと、3人のアーティストが集められた。
 イタリア人のA.メンディーニは、デザイン、インテリア、建築、絵画、音楽、文学と、ほとんどの芸術分野で制作活動をしてきた。彼は様々な様式の混合というスタイルをとるポストモダン・アーティストである。その様式の組み合わせ方は時には官能的でもあり、また、関連性がないと思われる要素をぶつけ合わせ、常に「現代性とは何か」と問い続けるかのようだ。各様式がどこからきているかが明白なのも興味深い。数々展示されるている中、小さな教会のインスタレーションは美しい。極度に装飾が施された瞑想の場の内部には音楽が流れている。この音楽もアラブ音楽とグレゴリオ聖歌の複合なのだ。彼の作品には”Fragilisme” はない。むしろ、力強さと閉塞感が残る。
 若い2人のフランス人、V.ボーランとF.ドメルクは、いずれもデザインの分野での活動がメインだが、地下に展示された作品には商業色はない。それは純粋な芸術作品だ。みかんの皮、葉、花弁などの素材感、作品のフォルム、表現の繊細さが、脆く、はかない詩的な空間を作り上げている。
 展示の最後を飾る3人の最新作では、それぞれの装飾性や素材の具象性が薄れ、抽象的な傾向へと変化している。(蘭)

*Fondation Cartier: 6/9日迄
261 bd Raspail 14e (月休)


● Frank STELLA (1936 – )

60年代以降アメリカン・ペインティングの代表的作家。アルミシリーズの大型近作6点。5/29迄
Galerie Daniel Templon :
36 rue Beaubourg 3e
● British Group Show
ロンドンの美術学校サン・マルタンズ・スクール卒の 6人の作品。5/30迄
Galerie Alain Le Gaillard & Associes :
19 rue Mazarine 6e
●Les Stroganoff “une dynastie de mecenes”
17世紀ロシア財閥ストロガノフ家コレクションでサンクトペテルスブルグ宮所蔵品。絵画・家具・貴金属他。6/2迄(月休) Musee Carnavalet :23 rue de Sevigne4e
● Presence francaise a Shanghai
1849年以来の租界地から1946年中国へ返還までの上海の仏人社会・風俗を伝える写真展。6/16迄(月休)
Musee Albert-Kahn: 14 rue du Port,
Boulogne (M。 Pont de St-Cloud)
● 南アフリカ展 “Ubuntu”
アフリカ大陸の中であまり知られていない南アの文化・日常を紹介。6/19迄
Musee des Arts d’Afrique et d’Oceanie:
293 av. Daumesnil 12e (火休)
●ARP(1887-1966) / ALBERS (1888-1976)
友人同士のアルプと、「正方形賛歌」で有名なアルバースの抽象作品。6/26迄
Galerie Denise Rene 22 rue Charlot 3e
●16~20世紀デッサン展

ゴヤ、ドガ、クールベ、セザンヌ、ピカソ他、5世紀にわたる巨匠たちのデッサン・素描画約200点。画商クルジエ夫妻の一大コレクション。6/30迄
Musee J- Andre : 158 bd Haussmann 8e
●《Masques》Werner STRUB (1935-)
スイス人作家。65年以降演劇用マスクを制作。糸を絡ませて作ったマスク100点が天井から垂れ下がる。6/30迄(14h-19h)
スイス文化センター: 38 rue des Francs- Bourgeois 3e (月火休)
●メキシコ民衆芸術
中世から現代までキリスト教文化と先住インディオの伝承文化との混交によるダイナミックな民衆芸術。彫刻・絵画他300点。7/13日迄(13h30-20h日月祭休)
Bibliotheque Forney: 1 rue du Figuier 4e
● Les artistes de Pharaon Deir el-Medineh et la Vallee des Rois
エジプト第18王朝時代「王家の谷」のファラオの工芸家・職人の作品や日用品をとおして住居や日常生活を展開。
7/22迄 ルーヴル美術館 (火休)   

 


 

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