大統領選”大地震”。

 4月21日夜8時キッカリ、テレビが「ジョスパン首相落選! 決選はシラク現大統領と極右ルペン候補の対決!」と発表。誰も予想しなかったこの結果に司会者たちも顔面硬直。翌朝リベラシオン紙のジュリー編集長の社説は「醜いフランスの勝利。ジョスパン・複数左翼の自殺…”スーパーマントゥール(大嘘つき)” 対 “スーパーファシスト”の対決カリカチュア」で始まる。
 シラク(69)19.71%、ルペン(73)16.95%、ジョスパン(64)16.12%、極右FN党首が約20万票の差で社会党首相を抜くという未聞のどんでん返し。右派同士の決選は、ドゴール大統領辞任後69年の大統領選以来で、右派対極右の対決は戦後初めて。
 民主主義による容赦ない屈辱的敗北を強いられたジョスパン首相は「左派の分裂が今回の事態を招いた。それは私の責任で大統領選挙後に政界を引退する」と宣言。この二重のショックで群集が夜11時頃からバスチーユ広場やカルチエラタンに繰り出し、「ファシズムにノン!」とルペンに抗議。が、棄権者(28.4%)の多くは春休み中の教職員や週末別荘で過ごす幹部クラスだったのでは。また、政権批判票として極左系4候補(計12%)に投票した左派系投票者も、どうせ決選はシラク対ジョスパンなのだからと、数時間後に起こりうる異変を予想だにしなかったのでは。中でも共産党が16人中11位! 得票率3.37%という、候補者乱立とはいえ左派既成政党離脱現象のパンチをくらう。もう一つ無視できないのは、前日までメディアが、シラク19.5%、ジョスパン18%、ルペン14%…と投票予想率を報道しながら、14%前後を維持するルペン支持層の実体(極右2党で20%)を見抜けなかったことだろう。
 それにしても選挙戦後半をシラク大統領は、もっぱら治安の悪さを左翼政権のせいにし市民の不安をあおる治安スローガンに終始。正直なジョスパン首相は「失業率が下がれば犯罪も減ると思っていたのがナイーブだった」と1カ月前にインタビュー中に述懐。この弱点をシラク大統領は逆手にとり治安を音頭に他候補も踊らせ、結局は「治安・外国人排斥主義」の老舗ルペンがトンビが油揚をさらう式に”治安”票をかっさらう。小中企業主や底辺生活者、失業者、農村民、高齢者たちのうちルペンを選んだ理由として54%が治安をあげている。彼らは、ジョスパン政権が誇る35時間制にはほとんど関係ない庶民なのである。この大衆票がすっぽり社会党の網から抜け落ちたといえよう。
 5月5日の決選でルペン票にどれほど歯止めができるか、80対20? 70対30? 1933年ドイツでヒトラーが当選した時もこんな状況だったのだろうか。4月21日以来連日、主要都市で数千、数万人の高校生・若者たちが自然発生的にデモを繰り広げ「ノン! 」「恥!」とルペン圧勝への怒りを叫んでいる。メーデーには保守派、ルペン派、左派と、戦後初の三潮流が町中でせめぎあうのではなかろうか。(君) 



候補者16人の得票率
19.88% シラク現大統領 (RPR共和国連合)
16.86% ルペン (FN国民戦線党 – 極右)
16.18% ジョスパン (PS社会党)
6.84% バイルー(UDF- 中道)
5.72% ラギエ(LO労働者の闘い党-トロツキスト)
5.33% シュヴェヌマン (MDC- 国家主権主義)
5.25% マメール (緑の党 – 左派)
4.25% ブザンスノ (LCR革命的共産党同盟)
4.23% サンジョス(CPNT狩猟・釣・自然・伝統)
3.91% マドラン (DL自由民主党 – 右派)
3.37% ユー (PCF共産党)
2.34% メグレ(MNR- 極右FN分派)
2.32% トビラ(PRG 急進左翼党 )
1.88% ルパージュ(CAP21- エコロジー右派)
1.19% ブタン(UDF分派 – 右派)
0.47% グルクステイン(PT労働者党 – 極左)


 

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