編集部からも羨望の声があがった、都心のアパート。 1区。地下鉄Chatelet-Les-Halles駅 。90m2。家賃550euros(管理費込み)。

 アンナさんとリオネルさんは、去年の10月にパリ市の低家賃住宅(HLM)に入居した。文字通り低家賃だから希望者が多く、ウェイティング・リストに入ってもコネや運がないと10年待っても入居できないといわれている?! が、聞けば彼らにはそれなりの事情があった。
 以前住んでいた10区のアパートは崩壊寸前で、それを防ぐために鉄や木の支えがある建物だった(写真-1-)。道行く人も足を止めて眺め入るような派手な痛み具合。でも学生のリオネル君には、敷金なし、給料明細の提示なしで入居できる〈27m2で家賃2500フラン〉の物件は好都合で、およそ150人の他の住人のように、そこで生活を始めた。
 ところがある日、本当に床が抜け、皿洗い中の女性が下半身だけ下の階に突入。真下では赤ん坊がお湯につかっている最中だったから「もし完全に落下していたら・・・」と人々は青ざめた。住人たちは立ち上がり、市に改善を訴えた。それまでも芸術家が写真を撮りに来たりはしたが、都市計画について論文を書く学生、テレビ、雑誌なども取材に来るようになる。住人はすこぶる多国籍で、ユーゴスラビア継承戦争の時期はセルビア人とクロアチア人の関係が緊迫したりもしたが、アンナさんとリオネルさんの結婚パーティーも中庭で開いたし、アンヌさんが妊娠してからは、隣人が子ども服を譲ってくれたりという〈人情溢れる長屋的〉生活が繰り広げられていた。「ふたりだけだったらあのアパートがよかったのですが、子どものために引っ越すことにしました」。鉛入りのペンキが壁などに使用されていたので、鉛中毒の危険性もあった。パリ市が建物全体を購入し、住人には他の住宅を割り当てることが決まり、一家
3人はレ・アールの住宅におさまった。
 物語の舞台は、改装が続く新居に戻ります。サンルームのような大きな二重窓、その中では植物が花を咲かせ、新しく張ったばかりの木の床も心地よい。窓外の車の流れは絶えないのに平穏なお茶の間…「でも、建物内、アパート内の騒音は筒抜け!」
 そして17カ月になるユリ君、広い居間をあっちへこっちへ、自分の部屋へと元気に自由に駆け回っているではありませんか。文化人類学の研究のために、もうすぐ一家揃って日本へ出発です。(ご夫妻の出会いは大学の人類学の授業でした)。まずは、めでたし!めでたし!(美)
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広いアパートの中を駆けっこ!


畳の敷いてあるベッドはくつろぎの場。



「庭があったらいろんな野菜をつくりたい」とアンナさん。
サンドイッチもおいしい近所のオーガニック食品店。
 「1区の難点は託児所がないこと」。夫妻は今もユリ君を10区の託児所へメトロで送り迎え。新居があるのは賑やかな地区だが、人間関係が稀薄な感もある。
 ご近所のオーガニック食品店 “ル・カンパニエ” まで、週一回、入荷する野菜と果物の袋を取りに行くそうだ。レシピ入りなので慣れない食材も恐くない。リオネルさんの比較研究によると、「果物はスーパーと値段も変わらず、特にお得」。パリと郊外に集配所が28カ所。各集配所により「出産準備センター」内だったり、生協があったりと形態も様々。二人が通うところは、おいしいランチも楽しめるカフェ形式です。(美)
*野菜:(大)11
/(小)7、果物:9
問い合わせは:01.4560.0830
www.lecampanier.com

 

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