ロダン美術館の心地よい小鳥のさえずりも気に入っています。

作曲家のヤンさんは、去年の9月からここに住んでいる。7区、ロダン美術館から歩いて一分くらいで、4階の彼のアパートの窓からは一方に美術館の庭、反対方向には国民議会の建物が見える。耳が敏感で「車の音を除いては騒音があると仕事ができない」彼は、静かなこのアパートをとても気に入っている。日曜日は5分は歩かないと新鮮なパンが買えない、という不満をのぞけば、場所もいいし、建物自体もいい。冬の寒い時でも暖房はあまり入れなくても済んだし、ピアノを弾いても近隣とのトラブルがない。などなどの理由で、今は借りているけれど、できれば買いたいと思うようになってきた。まったくの偶然ながらオランダ学院、オランダ大使館が歩いていける距離にあり、アパートはふたつのほぼ中間地点にあたる。そこへオランダ人のヤンさんが住むことになった、というのはあまりに出来すぎた話のようだが、実際そうなのだ。
 去年の8月まで郊外 (パリ西南) ムードンの一軒家に住んでいた。建築家ヴァン・ドゥースブルグの設計による「芸術家のための家」で、1917年にオランダで興った芸術運動「デ・ステイル」の代表的作品のひとつだ。文化財に住むのは容易じゃない。オランダ政府が管理している家だから「認められた」アーチストしか入れない。一人につき一年間限り、月々3000フランの条件の「選ばれた住人」
になったら、見学希望者を月に一度、土曜の午後に迎え入れなければいけない。去年は西武美術館のキュレーターも「デ・ステイル展」準備のために彼の家を訪れた。特徴ある建築物でも彼が住むと彼の色に染められてしまうような個性の持ち主のヤンさんは、美味しいテーブルを友人と囲むのが好きだ。彼の家なら、どういう建物でも人が集まる場所になるのだろう。おしゃれにもエネルギッシュなヤンさん、写真はヨージ・ヤマモトのスーツできめてくれた。今住んでいるアパートがお気に入りのもう一つの理由は、寝室の壁一面の大きなガードローブなのであった。 (美)

猫の屏風から養子縁組みまで

 愛猫家のサルヴィニさんの店の内に入ると、視界にワッとばかり百匹程の猫が入り込んでくる。どこも猫づくし。
 時々日本女性が店に来ては「カワイー」と言うので、マリ・ルイーズさんはこの日本語を覚えてしまった。アンチーク、現代のもの、この店オリジナルの雨傘にブローチ。ペローの童話のなかから抜け出たようなネコ氏の水差しと猫の木馬は特別この動物が好きでなくてもイイな、と思う。人間の5才児くらいの巨猫の木馬は不気味な童話の世界を匂わせる。
 入口の掲示板には「兄弟ひきとって下さい」、託児所ならぬ「託猫所」等の使えそうな広告あり。サルヴィニさん退職で秋に閉店予定。その前に放出品があるかどうか?足を運んで聞いてみて下さい。
*Au chat dormant:
31 rue de Bourgogne 7e 01.4550.3806