半円を描きながらパリの北半分を回るメトロ2号線は移民が多く住む、バルベス、ベルヴィルなどを通る。臭い、汚い、危ないと、この線を嫌う人も多い。
ある日曜日、私はこの沿線に住む友人に昼食に呼ばれた。休日だから車内は普段よりのんびりしている。見まわすと今日もほとんど有色人種ばかりだ。そしてなにか様子が違う。そう、みんな日曜のお出かけの格好をしているんだ。
あまり上等そうでもなく新しくもないスーツを着たスリランカ風の若い男性は、中に細かいペーズリー模様のベストを着て彼なりのオシャレをしている。子供を大勢連れたアフリカンママもいる。ゆったりした民俗服と共布を頭に巻き、堂々とした姿だ。同郷の友や親戚を訪ねに行くのだろう、みんな手みやげをもっている。コーラのびんが入っているスーパーの袋だったり、おそらく手料理が入っている大きな金属製の弁当箱。私も自分で焼いたケーキを膝に乗せている。
電車が地上に出たとき、パリの冬には珍しくお日さまが車内に射してきた。のどかな日曜日。みんな異国の日曜日。彼らにとって、普段の生活はきっとそんなに楽ではないだろう。でも今日は、ボン・ディマンシュ! ボン・ルポ ! (町田敬子)