テキスタイル見本市に出かけて、気分はもう2003年の春。

 パリコレより一足先に開催される業者向けテキスタイル見本市「プルミエール・ヴィジョン」。今年はヨーロッパ14カ国から746社が出展、2月20日から4日間で幕を閉じました。今年の夏を越えてそのまた先、2003年の春・夏の服地が出揃った、パリ北郊外のヴィルパントの会場へ、モードの行方を探しに。
 今シーズンは会場もおしゃれです。日本を含む世界中の美術館のほかカルチエのお店の構想や、アントワープ中央駅の改築なども手がける建築家ジャン=ミシェル・ヴィルモットが会場をデザイン。企業秘密を漏らすまいと出展社が各々ブースを壁で覆いつくすこの見本市ですが、今年の壁は木材。なので、木造の家が並ぶ住宅街のようです。すっかり見本市でもお馴染みになったSUSHI売場はもちろん、オーガニック・サンドイッチのスタンド、インターネット・スペースもお目見えし、パリで一時話題になったスープ・スタンドもあり、リラクゼーション・コーナーでは、竹の植木のなかでマッサージの若いお嬢さんたちがお客の背を揉んでいます。
 2003年の布の全体的な方向性を掴むには、会場内に数カ所設置されたフォーラムが便利です。例えば〈BEST〉では、毎日、会場で注文の多かった布の傾向を分析、集計した結果を発表。それによれば[色:白、さんざし色、シャンパーニュ][素材:コットン、シルク、麻][スタイル:起伏、透かし、ナチュラル、洗い晒し][風合い:軽さ、流れるようななめらかさ][模様:ロマンチックな花柄、不規則なストライプ、カラフル・ストライプ]などが人気だったとのこと。確かに会場全体が、淡い優しい色、白っぽくしたシャーベットのような色に包まれていたし、微かな風にもフワッとなびく羽衣のような軽くはかない素材が目立って、もう春が来たような気分でした。ふくれ織で小さなデコボコがある布が多く、ピンタックやスモックが施された布やサッカー地などは、小さかったころの夏が懐かしく思われるのでした。去年の9月のアメリカでの惨事は、エキセントリックなものよりも価値観の安定したもの、静かでクラシカルなものへの帰還を促した、というのが大方の見解です。展示されていた布が、来年どんな服になって店先に並ぶのか待ち遠しい。来シーズンは9月19日から21日までの開催です。(美)