ノエルのパーティー用オードブルはこれだ。 Filet de porc a la sauce thon

 年に一度のクリスマスパーティー、豚のフィレ肉をクール・ブイヨンで煮て、ツナ、アンチョビー風味のソースで味わうオードブルを作ってみよう。ロースト用にひもで結わえられているフィレ肉を1キロ、塊のままで買ってくる。
 まずクール・ブイヨンの準備。水2リットル、白ワイン半リットル、薄く切ったニンジン2本とタマネギ1個、ブーケ・ガルニ(タイム+ローリエ+パセリ+セロリ)、塩大さじ2杯を大鍋にとって、黒コショウをたっぷり挽き入れ、30分ほど沸騰させる。素晴らしい風味になったこのクール・ブイヨンを一度冷まします。

 ココットのような厚鍋に豚肉の塊を入れ、これがすっかりかぶるようにクール・ブイヨンを注ぐ。足りなかったら、水を足す。これを中火にかけ、沸騰してきたら火を落とし、フタをしてコトコトと1時間煮ていく。中まで火が通ればいいので、煮すぎてはいけない。冷めたら肉の塊を取り出し、アルミホイルでおおって、半日ほど冷蔵庫に入れておく。
 パーティー直前になったら、ツナ、アンチョビー入りソースを用意する。まず卵黄1個とオリーブ油で1カップ弱のマヨネーズをを作る。アンチョビー6枚と缶詰のツナ(水煮)150グラム、ケイパー大さじ1、2杯を混ぜ合わせ、全体がきめ細かなムース状になるまでミキサーにかける。これをマヨネーズと練り合わせ、塩、コショウで味をととのえればでき上がり。冷蔵庫から肉を出し、ひもをはずしてできるだけ薄く切り、レタスなどを敷いた大皿に美しく並べ、ソース、ケイパーを脇に添えるといい。
 この料理、もともとはvitello tonnatoというイタリア料理で、本来は子牛の肉を使う。予算が倍くらいになってしまうけれど、ふところに余裕のある人は、子牛肉のモモ肉(noixあるいはsous-noix)を1キロ塊のままで買い、豚の薄い脂身を巻いてひもで結わえてもらう。あとの作り方は同じです。(真)

 

台所の本
 クリスマスが近づくと、料理雑誌の表紙は豪華なごちそうの写真で埋まる。ついつい買ってしまうが、いざ真似してみようと思うと、ロブスター、フォワグラ、トリュッフなど高価な材料を贅沢に使い、そのうえ手の込んだものがほとんどで、ためらってしまう。フランスの平均的主婦(夫)がこんなごちそうを作っているのだろうかと萎縮する人がいるかもしれないが、ご安心。何度かクリスマスの食卓に招かれたことがあるけれど、ここまでの腕前を披露できる人は、ごくわずか。こんな雑誌からは、ちょっとヒントを得たり、ディテールを参考にするくらいが無難。僕らのクリスマス料理は、ふだんの得意料理にちょっと手をかけるのがいちばんだ。贅沢というのなら、今が旬のカキやウニで潮の香りを楽しみましょう。(真)


クール・ブイヨン court-bouillon
 フランス料理では(特に魚介類)、クール・ブイヨンというダシでゆでてから、さまざまなソースで食べるものが多い。クール・ブイヨンは、今回のレシピのようなワイン風味とビネガー(レモン)風味の二つに分けることができる。ローリエやタイムなどのハーブ、コショウやクローブ、甘みを出すためのニンジンやタマネギなどを加えて、それぞれ自慢のクール・ブイヨンを作ることにしたい。

 白ワインのクール・ブイヨンはサケ、マスに向いているし、川魚だったら、かわりに赤ワインを入れる。ビネガー風味クール・ブイヨンは水3リットルに対しビネガー200cc(レモン2個分の搾り汁)というのが目安。これは、タラ科の魚やカマスなどの川魚向きだ。

 いずれのクール・ブイヨンも30分ほど静かに沸騰させて各材料の風味を煮出し、一度冷ましてから使うこと。おいしいスープの素になるから、魚介類や肉を取り出した後のクール・ブイヨンを捨ててはいけません。たとえば、今回のレシピで残ったクール・ブイヨンなら、ラーメンのスープなどに最適!

 

●ツナ缶 thon en conserve
 ツナの缶詰は値段も手ごろで、そのままをオードブルにしたり、サラダやオムレツに入れたりと便利な食材。味がよい近海物のホワイト・ツナは “thon blanc”あるいは “germon” と明記してある。水煮は “au naturel”、一度火を通して油漬けにしたものは “à l’huile”、オリーブ油 “à l’huile d’olive” や落花生油 “à l’huile d’arachide” 漬けがうまい。トマトソース風味は “à la tomate”。地中海風 “à la provencale” もある。”en miettes” というのはくずれ身の缶詰で、値段はずっと安いが、やはり味は落ちる。