フェイクの毛皮。

 夏にお店の前を通った時には閉まっていた。それもそのはず「うちの製品は冬用なんです」とお店の人。フランスはここ一軒だけで営業している La Maison de la Fausse Fourrureは1994年から存在する、その名の示すようにフェイク毛皮屋さんだ。ご主人がもともとベルギーの布製造会社 Tyber を営み、アメリカ人の奥さんがその中からフェイク毛皮地だけを使用し洋服に仕立てたのがきっかけで、現在ではカバン、肩掛け、クッション、手袋などアクセサリーも含めて200~300のモデルを製造・販売している。
 「ブリジット・バルドーから服を貸してくれとの要請もあったりして…」「でも、我々は動物愛護運動家というわけではないんです。たまたまフェイク毛皮の布を製造していたので、それを利用して」。狂牛病で革の供給が減り、値段が高くなったというが、それに対する反発か、市場操作戦略だったのか、革製品のズボン、ブーツなどがこの冬の大流行となっている。それに伴ってだろうか、毛皮をアクセサリーや服に縫い付けたりするスタイルが次々に大御所デザイナーより発表され、毛皮嫌いだったフランスでなぜ? と不思議に思う。
 「本物志向の人、お金のある人は本毛皮ですが、お国柄もあるようで、イギリスでは白い眼で見られますがイタリアでは人気の毛皮。大人向けには本物でも、例えば子供服にはボンポワンやリキエルでうちの製品が扱われたりしています。大ブランドがわざとフェイクを使うこともありますし…、デザイナーが布をよく買いに来ますよ」。お値段は、安いメガネケースから、オーバー1900F、一番高いのが敷物で4000F。去年は薄ピンク色のオーバーが大変売れたそうだが、今年はクラシックな小ドットの豹柄(一昨年から流行った大柄のモチーフではなく)、渋めの茶、黒のダッフルコートが人気。「うちはワンシーズンで勝負です。暑い国には需要はありませんし、反対にカナダなどの極寒な国では本当の毛皮や効果的なテキスタイルがすでにあるので、我々の顧客には限りがあるんです。フェイク毛皮は保温効果もそこそこ優れ、ヨーロッパや日本のようなところに適した素材です。その意味でフランスなどではこれで十分なんです。豹や山猫が毛皮のために乱獲されているのはやはり気になりますし…」
 このフェイク毛皮は、動物保護! 安い!おまけに流行! の一石三鳥のアイテムなのだ。(麦)
La Maison de la Fausse Fourrure
34 bd Beaumarchais 11e
01.43 55.24 21 www.mfftyber.com

モード誌の毛皮オンパレード。

傘にもフェイク毛皮。この他、フェイク毛皮のキャディーなどアイデアも豊富。