ハンモックで即席リゾート気分。 メトロ Jussieu駅 。26m2、家賃3800F。

 クレジットカード会社で国外交渉を担当するギヨームくん。月に一度は必ず外国への出張があり、ヨーロッパ諸国はもちろん、時に南アフリカなど遠隔地まで赴くこともざらだ。一方、趣味の方では、学生時代から所属している劇団の俳優さんとして活躍しており、現在は12月公演に向け準備中。
 そんな行動派の彼が日々の活力を充電する大切な場所—それはもちろん彼のアパート。室内はガーナのお面、トルコの布、インドネシアの置き物など、彼が仕事や旅先で少しずつ手に入れてきたアジア・アフリカ圏のオブジェが部屋のアクセントになっている。エキゾチックな雰囲気は柱や床の木の温かみと相性抜群。
 さらに観察してみると、このアパートは設計そのものが優秀だということに気がつく。備え付けの大きなタンスのおかげで収納スペースがたっぷりある。ロフト風ベッドの真下のスペースに浴室とトイレが潜んでいる。一階に住む彼の部屋の窓からは中庭が広がり、自分の部屋の続きのようで開放感がある。総面積は2部屋で26m2だが、実際には面積の数字が与える印象よりもかなり広さを感じる作りだ。社交的な彼は、毎日窓越しに近所の人たちとコミュニケーションをとることを忘れない。取材中も中庭で遊んでいた子供たちが彼に何度も声をかけていた。東京のアパートではほぼ絶滅しかけている “近所付き合い” というものが、パリ5区のJussieuではちゃんと息づいていた。
 さて「アパートでお気に入りの過ごし方は?」と質問を投げかけてみると、彼はおもむろに部屋の奥から布とヒモの塊をゴソゴソ取り出してきて、「最近はこの上で本を読んで過ごすことが多いんだ」とニッコリ。”ハンモック” である。そしてあれよという間に手際良くハンモックを壁に結び付け、早速デモンストレーション。「即席でエキゾチックなリゾート気分が味わえて楽しいよ~!」 もう誰にも止められない。彼はかなり大柄なのでヒモが切れないか少々心配であったのだが、気持ち良さそうに揺れている彼の姿に、最後には思わず羨ましくなってしまった。(瑞)


壁にかけられたガーナの面。


ソムリエの友だちのアドバイスで建物の地下にある共同のカーブにボルドーやソーテルヌをこっそり隠している。

アラブ風に水パイプで和む。

 ギヨームくんのおすすめスポットはOum Kalthaum Cafe。数年前からブロンシェの名のもとに雑誌などで盛んに取りあげられたアラブ風カフェだ。Narguileナルギレと呼ばれる水パイプが自慢。例えば20区メニルモンタンのアラブカフェが本物のアラブ人ばかりで、入るのにちょっと勇気がいるのに対し、5区にあるこのお店は新鮮な和み感を楽しもうとする若者で溢れていて、初めての人でも入りやすい。
 ナルギレはリンゴ、ミント、イチゴ、アプリコットなど種類が豊富。値段は25フランから。より和み感を味わいたい人は、階段を降りて地下フロアへどうぞ。ギヨームくんいわく「必ず一度は停電が起きる」不思議なスペースだ。人が多い時には温度が10度位高くなっているので、暑がりさんはご注意を。煙草は苦手という人はオリジナルドリンクに挑戦するといい。甘党なら是非試してほしいのがトルコ産の飲み物sahlabサラブ。牛乳をベースにココナッツ、シナモン、ピスタッシュ、胡麻が入ったホットドリンクだ。こうやって世界の文化が気軽に楽しめるのもやはりパリの魅力のひとつなのだ。(瑞)


*Oum Kalthaum Cafe
4 square Vermenouze 5e
01.4587.3858 毎日9h-2h