環境に溶け込む建築構想。 Vito Acconci / Acconci Studio Architecture, Projets / Built, Unbuilt, Unbuildable, 1983-2001

サン・マルタン運河のヴァルミー岸に昨年1月にオープンしたICAR(Institut pour la Coop屍ation de l’Art et de la Recherche) は、工場跡の建物をオランダ人アーティスト、レンツ・リプシウスのデザインで、燦々と自然光が射し込む拡がりのある美しい空間に変身させた展示スペースだ。開館以来ICARでは、絵画、彫刻、写真、インスタレーション、ビデオ、デザイン、建築、音楽、パフォーマンス、文学など、多分野にわたる作品を紹介している。D. オッペンハイム、J. コプランなどのエキスポののち、現在は、アメリカ人アーティスト、ヴィット・アコンチと彼の主宰するAcconci Studio の、約30点の建築プロジェクトが展示されている。フランスでは初めて見られるものだ。
アコンチ(1940-)は70年代にはラジカルなパフォーマンス・アーティストとして知られていた。特に “Seedbed” と題された、ニューヨークのギャラリーの階段の下で彼自身がマスターベーションをし、その声を観客が訪れる階上のスペースにスピーカーで流すという作品は、大変な反響を呼んだ。ここですでにアコンチは、アーティストと観客の間にある境界線をあやふやにしていた。
ほとんどの作品は、すでに存在する建築物の周囲の風景を整備し、建物と環境を混ぜ合わせたものだ。例えば、建築家R. Meierによる建築物のエレメントをその周囲に拡がる公園に配置した “Project for Courtyard-New Siemens Building” (1998)。スタジアムの外部に観客席のエレメントを用いて公園を作った “Project for a landscape”(1999)。また、川の中に透明のシアターとカフェを配置した “Island on the MUR”(2000)など、彼の建築的プロジェクトでは、アーティストと観客の境界線は消滅しているといえるだろう。
具象的で逸話性のある80年代の “Early Works”には、 遊び心のあるポップ・アートの精神が感じられ、近作ではその精神がすっかり消化されたものになっている。人間のための、人間が中心となった、あるいは人間が環境に溶け込む愛すべき建築構想である。(ヤン / 訳:仙)
*ICAR : 159 quai de Valmy 10e 7/15迄

 Island on the MUR, Graz 2000

*ICAR : 159 quai de Valmy 10e 7/15迄


Bernd et Hilla BECHER展
 人気のない家々のファサード。無口で平面的な白黒写真が、形体のタイプごとに分類されている。ドイツ人写真家ベッヒャー夫妻の「家」のシリーズからの65点(1959〜94年)である。
時代の変化で消えつつあった溶鉱炉、貯水塔などの工業建築物を始め、彼らは40年以上にわたり共同で建物の写真を撮影し続けてきた。客観性を固守し、どの部分も価値が平等になるように、曇天時を選んでディテールを画面に均一に焼付けるという方法で夥しい数の形体を採取し、分類し、シリーズにした。この工程によって形体の機能目的は非常に明確になると同時に、機能からは独立した「形」そのものが抽出される。彼らの「写真」作品は、1990年ヴェニス・ビエンナーレで「彫刻」部門賞を受賞している。
ここに展示されている家の写真は、どれもドイツの工業地帯に住む労働者たちが自分で建てたものだという。グループごとに一見整然と連続して並ぶ形だが、その細部には、手作業の不規則さ、雨や埃の跡、窓のカーテンなどが見え、どれひとつとして同じものはなく、個性がはっきりと浮かび上がる。形体はもちろんだが、被写体の過去や状況までも記録する彼らの作品は、写真でしかできないことを際立たせている。(仙)

Galerie Renn : 14 rue de Verneuil 7e 7/13迄


●Ko苗hiro KURITA<Hydrosph俊e>
水面を撮った写真作品。6/26迄
Galerie Camera Obscura :
12 rue Ernest-Cresson 14e
●Thomas HIRSCHHORN
昨年はギャラリー内にアルマ橋上のオブジェを再構成したヒルシュホルンが、メトロのスターリングラード駅高架線の下に作品を展示。6/28迄
地下鉄 Stalingrad 駅 19e
●Soun-Gui KIM
70〜80年代にはジョン・ケージやナムジュン・パイクとコラボレーションしてきた韓国人アーティストの近作。ビデオ、写真作品。6/30迄
Galerie Lara Vincy: 47 rue de Seine 6e
●Ousmane SOW
力強い塑像を制作するオスマン・ソウが、初めてブロンズ素材に着手。「ダンサー」「闘士」「母と子」近作3点。6/30迄
Musee Dapper: 35 rue Paul-Valery 16e
●Philip BLENKINSOP<Extreme Asie>

1997年のプノンペン、1998年のインドネシアのティモール島…。ブレンキンソップの報道写真は、クーデター、民族闘争の残忍さを生々しく伝える。7/13迄

Galerie Fait&Cause: 58 rue Quincampoix 4e

●チェコのアーティスト展

チェコ出身パリ在住アーティスト9人の作品展。中でも、ランプ・シリーズが日本でも紹介されているヤン・テザールの彫刻作品は、素材から囁きが響くような繊細さをもつ。6/30迄 (土日月休)
Le Centre tcheque: 18 rue Bonaparte 6e

●<Rodin en 1900. L’Exposition de l’Alma>

1900年のパリ万博で開催されたロダン展を再現。7/15迄

Musée du Luxembourg :

19 rue de Vaugirard 6e
●<Dessins romantiques francais>

ロマン主義文学の幕開けとなったユゴーの韻文劇「エルナニ」発表(1830年)の前後1820〜50年のロマン主義アーティスト35人。デッサン、パステル、水彩画78点。ジェリコー、ドラクロワ、アングル、もちろんユゴーの作品も。7/15迄
Musee de la Vie romantique :

16 rue Chaptal 9e (月休)

●<L’Etrange et le Merveilleux en terres d’Islam>

中近東からインドまで、イスラム諸国のオブジェ、書物など200点を展示し、その想像世界の豊かさを紹介。7/23迄

ルーブル美術館(火休)
●<Medee furieuse>

コルキス王の娘メデイアはイアソンへの恋のため、国を裏切り我が子を殺した。ギリシア神話の悲劇の王女を題材にしたドラクロワの作品「怒れるメデイア」(1838)を中心に、関連のリトグラフ、エスキースなどを集める。7/30迄
Musee Eugene-Delacroix :

6 rue de Furstemberg 6e (火休)

●<Maillol Peintre>

彫刻家マイヨール(1861-1944) の絵画作品を集める。10/20迄
Musee Maillol: 61 rue de Grenelle 7e

 


 

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