Collectif 21 Label-Grange
5年間いたスクワットGrange-aux-Belles から退去させられ、ここに入居したのは2000年8月のこと。11人のアーティストの仕事場兼住居で、彼らを中心に様々な活動を行っている。
現在パリ市の所有であるこの美しい建物は、20世紀初頭のプチ・パレと同じ建築家によるもの。歴史的建造物に指定されている。元々は大富豪シュダンスの邸宅だった。彼の死後は国の所有となり、国立高等演劇学校として多くの俳優、演出家を輩出した。演劇学校がリヨンへ移転したため1997年から空き家になっていたところへ、ちょうど彼らがやってきたのである。
昨年の10月、チベリ市長はパリ市警視庁に彼らを即刻退去させるよう命じたが、失敗に終わった。空き家の場合、無断侵入者を強制退去させるには、侵入行為から48時間以内でなくてはならないという法律があるのだ。パリ市はやはり10月に、教育省が所有するシャプタル館とよばれる建物とこのスクワットされている建物を交換する契約を交わした。パリ市はシャプタル館に演劇センターを設立する予定なのだ。
ここへ集まる画家、ビデオ作家、写真家、ミュージシャン、音響エンジニア、舞台照明家、曲芸師たちはもちろん、ダンサーや演劇関係のアーティストにとっては、この建物が以前は演劇学校だったこともあり、設備が理想的、最高の環境だ。彼らは、ここを多目的カルチャーセンターとして機能させていこうと考えている。毎週月曜日にミーティングを開き、エキスポやコンサート、ダンス、演劇の公演などを次々にオーガナイズ。今月はベルリンのスクワット・アーティストたちのエキスポを開催している。(3/21日迄)
「助成金をもらおうとすれば、書類が通るのに時間がかかるし、出たら出たで制限も多い。ここではインスピレーションを感じた者同士が、即座にコラボレーションできるというスピード感がある。書類審査やその返事待ちに何年も待つなんてできない。助成金なんて一銭ももらおうとは思っていない」と中心メンバーの画家ペドロ。音響エンジニアのパトリスは、音楽制作会社の大手ワーナーに長年勤め、ものすごい高給取りだった。が、ある日きっぱり会社を辞めてしまった。「今は自分のために音作りをしている。ここに来るミュージシャンの音をミキシングすることもある。そんな時、金銭目的ではない、純粋にクリエイティヴィティの交感だと感じる。金はないけど、とても幸せ。人生の過ごし方は、それぞれが選択するものだ」*21 rue Blanche 9e
曲芸師のグループが稽古中。
制作中のフランソワ。
スクワットに見えても、完全に「合法的」Frigo
13区、国立図書館近くのフリゴFrigoは、各種アトリエ、音楽や写真のスタジオ、劇場、洋裁教室などがある多彩な活動の場だ。フリゴは、1921年にフランス鉄道会社が建てた2万平米の食糧品貯蔵庫だった。各地から運ばれてきた食品がここで貯蔵されレ・アールの市場で売られていたが、ランジスに市場が移転した1971年から使われなくなった。10年後、当時所有者だったSNCFがビジネスマン2人組に建物の運営を委託。電気も水道の設備もほとんどないところに、ジャズ・ミュージシャンほかアーティストたちがアトリエを構えた。建物は外も内も落書きだらけで「スクワット風」だが、実は全員が家賃・管理費を払ってアトリエを利用。落書きはほとんどが外部の人によるものだ。今では250人のアーティストが活動、発表の場とする〈集合アトリエ〉となり、外国からの見学者も多い。
そんなフリゴにも危機が迫っている。土地が「都市計画整備地区」に指定され、トゥーボン区長が「2万平米のオフィス・ビルを造る」プロジェクトを推進中なのだ。フリゴの人々はAPLD91*協会を組織し、これに抗議。会長のレティ氏は「現代社会にオフィスは当然必要。でもフリゴのような歴史的建造物は保存するべき。フリゴは地域の文化活動の場となっている。地域との調和を考えない乱開発こそ止めるべき」と訴える。
*91 Quai de la Gare 13e
アトリエ開放期間:5月25、26、27日。 9月は28、29、30日。
劇団 “Kaléidoscope” による3月公演の問い合わせ先 : 01.4583.8576
*APLD91 (Association Pour Le Développement du 91 Quai de la Gare) 01.4424.9696
ほかには……
In Fact
普段は一般には公開されていない。定期的に展覧会、コンサート、映写会などを開催している。
51 rue de Chateaudun 9e
La Miroiterie
毎月第1日曜日に展覧会や映写会を開催。
88 rue de Menilmontant 20eHors Champs
火~土の午後一般公開。展覧会、パフォーマンスなどの催しのほか、ダンス、歌、演劇の入門講座もある。
62 rue Pierre Charron 8e
hors_champ@hotmail.com