中華風カモのレモン風味を作ってみよう。 Canard au citron

 しばらく前にカモの胸肉を使って中華風照り焼きを作りましたね。今回はカモの胸肉を薄く切って唐揚げにし、レモン風味のタレを添えたcanard au citron。タレの甘酸っぱさで、脂ののったカモがとてもおいしく食べられる。
 4人分として400 グラムほどのカモの胸肉magret de canardを一つ買ってくる。カモの皮下脂肪はうまい、といっても僕は少し脂ぬきをする。脂が出やすくなるようにフォークをまんべんなく皮に突き刺してから、フライパンにとる。ごくごく弱火で30 分くらいかけてじわじわと脂ぬき。ずいぶん出たなあという頃合いになったらひっくり返して、身の方は強火でさっと1分ほど焼く。にじみ出た脂は捨てずにとっておいて、ジャガイモのソテーなどに使いましょう。
 カモの肉が冷めたら、できるだけ薄く切って、ボールにとる。塩、コショウ、醤油、おろしショウガ、それにお酒か白ワイン少々を振りかけて30分ほど置いて下味をつける。
 この間にタレを作ってしまう。レモン1個を搾って小鍋にとる。砂糖、塩、水を適量加えて、甘酸っぱい味に調え、沸騰したら水で溶いたコーンスターチ少々を混ぜ込んでトロミをつけ、冷まします。僕は塩のかわりにニョクマム (ナンプラー) を加えることにしている。仕上げに煎りたてのゴマを加えると香りがぐんとよくなるでしょう。
 カモの肉に、割りほぐした卵1個、コーンスターチ大さじ2 杯ほどを混ぜ入れる。あとは一枚一枚取り出しながら、高めの温度の油でカラッと揚げていくだけ。レタスの葉を敷いた皿に盛りつけて食卓へ。熱々のカモをジュッとタレにつけながら食べる幸せ。あっという間にみんなの胃袋におさまる。
 これだけだと前菜という感じかもしれないが、豆腐と野菜の炒めものなどをたっぷり添えれば、立派なご馳走になるでしょう。(真)

台所のフランス語
●citron
 レモンはcitron、あるいはcitron vert (ライム) と区別するためにcitron jauneと呼ばれる。

 presser un citronはレモン1個を搾ることで、レモン搾り器はpresse-citron。レシピにune grande cuillerere de jus de citronと出てきたら、レモンの搾り汁大さじ1 杯という意味だ。魚介料理、ケーキ、ソースなどに、レモンの皮zeste de citronを使うことも多い。その場合は表面に防腐処理などをほどこしていないcitron non traité を使いたい。冬ならではのチリ鍋の薬味には、レモンの皮よりもライムの皮の方が独特の香りがあって味を引き立ててくれる。皮の裏の苦みがある白い部分をむかないように、できるだけ薄くそいでせん切りにする。

 アラブの食料品店にはレモンの漬け物citron confitが売られているが、これはトリ肉のタジンに欠かせない。citron givré、中華レストランのデザートとして出てくる、中身をくりぬいたレモンの皮にレモン・シャーベットを詰めたもの。

●maisena
 ”マイゼナ” は商品名だけれど、今ではコーンスターチの代名詞のようになってしまった。片栗粉同様につなぎに使ったり、ソースにトロミをつけたり、ケーキを作るときに小麦粉と併用したりする。中国人はコーンスターチを大量に使うので、中華食品店で買うと半値以下です。
●nuoc mam (naam pla)

 以前、タイ風魚介グリーンカレーに使ったことがありましたね。ベトナムやタイの料理に欠かせないニョクマム (ナンプラー) は小魚から作られる醤油。匂いがきついけれど、炒め料理や煮込み料理に少々加えると、味にグーンと深みが出る。春巻きやエビの揚げ物用のタレは、このニョクマムをレモンの搾り汁と湯少々で伸ばし、砂糖、ニンニク、唐辛子をたたき潰したものを適量加えて作る。これも煎りゴマを加えるとさらにうまい。