パントマイムを芸術のランクにまで引き上げたことが高く評価され、日本でも「人間国宝」に指定されているマルセル・マルソーさん (77) が、9月のオランピア劇場公演を皮切りに世界各地を回る”Les Premiers Adieux de Bip” と題した引退興行を行っている。 1923年、ストラスブールのユダヤ人家庭に生まれる。第二次世界大戦中に、父親は強制収容所に送られ、マルソーさんはレジスタンスに加わる。戦後すぐに、シャルル・デュランの演劇学校で学んだパントマイムをやり続けることを決心。47年に、真っ白な顔で山高帽に一輪の花をさしたビップ氏が誕生。「亡くなった人たちが、私の中で生きています。マイムは見えないものを見えるようにし、不在なものを現前させます」 哲学するのはパントマイムの役割ではないという批判もあったが、その無言の表情で、青春や老い、恋の喜びや悲しみを観客に伝えてきた。亡きチャップリンも彼のファンだったという。 A bientot, Monsieur Bip. (真) |
“Ceux qui ont disparu vivent en moi. Le mime rend l’invisible visible l’absent présent.” |