ほのぼのと心が癒されるようだ。 “Fast food, fast woman”

 主演、アンナ・トムソン、監督、アモス・コレックのコンビによる第三弾、『Fast food, fast woman』は、前二作の『Sue perdue dans Manhattan』、『Fiona』と趣をいささか異にする。スーは、マンハッタンの街中で孤独に埋もれて何処までも落下していく女性だった。フィオナは、過酷なマンハッタンの現実の中で、生まれついての不幸を身にまといながら闘っていた。
 さて、今回も舞台は同じマンハッタン。しかし、ここは人情味溢れる昔ながらのダイナー(これぞアメリカの文化!?)、過酷な現実や孤独を束の間でも癒してくれる場所だ。主人公のベラは、この店の姉御肌のベテラン・ウエートレス。時には愚痴の聞き役に、時には悪口の対象にと、ここに集まる人々の緩衝剤になっている。
 一方、ベラの私生活はというと、もうじき35歳で、初老の演出家と未来のない不倫関係をつづけている。マイアミで気楽な生活を送る母親が娘の行く末を心配して「ブリュノという好青年がいるから会ってみたら?」と、遠距離から見合いを奨めてくる。二人は、イイ感じで出会うのだが、ベラの変な突っ張りが災いし、関係はすんなり進まない…。この頃、店の常連、ポールにも浮いた話が持ち上がる。60歳を過ぎて男やもめの彼、三行広告を出した結果、お似合いの未亡人と知り合い交際を始めるが、こちらも彼の引っ込み思案な性格が災いして、関係は暗礁に乗り上げる…。一方、ポールの “つるみ” 仲間のシーモアは、ピープショーのダンサーに熱を上げた末に、ついに彼女とのデートをゲット!
 この映画は (前二作と違って) もちろんハッピーエンド、それも突拍子もない転回を経ての…。ほのぼのとしたユーモアに包まれた癒しの一編だ。(吉)