どう考えてもポルノ映画ではない。 ”Baise-moi” ほか

 5月のカンヌ映画祭が終わると、大作は秋待ちで、映画界は夏休み明けまでオフシーズンのはずだった。が、今年は異変が…7/5日に17本、7/12日に14本、7/19日には20本もの作品が公開されてしまう。この時期にリリースすると奨励金が貰えることになったそうで、そのせいか? 観る側はどうすれば良いのだ、選択肢が多すぎる。
 ここで(吉)達が頑張って作品を推薦する任務を果たさねば意味がないのだが、帯に短しタスキに長し、観れた作品の中に”この1本!”がなかった。申し訳ない。
 『セレブレーション』の人気にあやかってトーマス・ヴィンターベアの、以前の作品である『LES HEROS』が出る。12歳の娘の父親であることを知らされた男、その娘と親友を伴っての逃避行が、ちょいと変なタッチで描かれる。
 ドミニク・ショワジーの『CONFORT MODERNE』は、タッチは超まともだが話が変わっている。中流中の中流、フランス中流の典型のような女性が、妄想とも現実ともつかない事件を機に脱線して行く…。主演のナタリー・リシャールのクールな存在感が印象的だ。
 彼女はローラン・ペランの『30ANS』でもイイ感じだ。こちらは70年代に政治的演劇活動をしていた仲間の軌跡を綴るが、話の核に、一人の女性の存在と彼女の子供の出生の秘密が潜む…。
 さて、社会道徳的な観点からの検閲か表現の自由か、論議の的となり、それが宣伝効果にもなっていた『BAISE-MOI』は、いったんスクリーンから姿を消す。作家のヴィルジニー・デスパントと元ポルノ女優のコラリー・トランチという女性コンビ監督の手になるセックス&ヴァイオレンスを真っ向から主題にした確かに挑戦的で過激な作品だが、どう考えてもポルノ映画ではない。主人公も女性二人。女もここまでやれるかー!?  (吉)