旅をしながら理想の家族を作った。 “Drole de Felix”


 『おかしなフェリックス / Drole de Felix』は、『ジャンヌと素敵な青年 / Jeanne et le garcon formidable』(98) というジャック・ドミーに捧げたミュージカル映画で、デビューしたオリヴィエ・デュカステルとジャック・マルティノーのコンビ監督によるロードムーヴィー。
 フェリックス (サミー・ブアジラ) は、ノルマンディーの港町で、同性の恋人、ダニエル (ピエール=ルー・ラジョ) と暢気に暮らしている。彼氏 (?) の出張に伴い、自分も長年気に掛けていたことを実行に移すことを思い立つ。マルセイユに住んでいるらしい未だ会ったことのない父親を訪ねる旅だ。ただストレートにマルセイユ行きの列車に乗る代わりに、彼は気ままなヒッチハイクの旅を選んだ。
 行く先々で彼が出会う人達との交流がオモシロ可笑しく綴られるのだが、旅のさい先は良くなかった。殺人を目撃してしまったのである。犯人に脅迫され警察へ訴えることもままならず、何かに追われ何かから逃げるような旅となる…。
 ”弟” のように彼を慕って来る若者、”祖母” のように彼を見透かし見守る老女(『ポーラ・X』等で最近復活めざましいパタシューが傑作!)、”姉” のように彼を振り回す女性(『マルセイユの恋/Marius et Jeannette』でブレイクしたアリアンヌ・アスカリッド、見飽きたという声もあるが、ここでの彼女の女丈夫ぶりは中々)、そして通りすがりの”恋人”、”父”のような人との交流…。フェリックスは旅の途中で、ある種理想の家族を作ったのである。人種偏見による殺人事件目撃のプロットが中途半端なままなのが惜しい気もするが、フェリックスは、普通っぽいところが良くて、愛すべきキャラクターだし、出会いの一つ一つが爽やかで、観てて良い時が過ごせる映画。(吉)