Brick a l’oeuf
ギリシア、トルコなどでも使われ、チュニジアではブリックfeuille de brickと呼ばれる薄い皮は、小麦粉から作られ、東南アジアのライス・ペーパー同様、いろいろなものを包んで揚げることができる。ベルヴィルなどチュニジア人が多く住んでいる街には、目の前でブリックを揚げてくれる店が何軒かある。その中でもいちばんポピュラーな、卵、ツナ入りのブリック・ア・ルフを作ってみよう。 4人分として、缶詰のツナ200グラム (油漬けà l’huileより水煮au naturelの方がいい) をボールにとってほぐし、ばらばらにする。そこへ、玉ネギ1個をみじんに切って透明になるまで炒めたものを加える。さらにパセリのみじん切り大サジ1 杯を混ぜ込み、塩、コショウ。これが、ブリックの中身になる。お店のブリック・ア・ルフには、サイコロ大のゆでジャガも入っているが、僕は入れません。パセリのかわりに新鮮なコリアンダーを刻んで入れればさらにうまい。 フライパンにたっぷりと油をとって、火にかける。紙で挟んであるブリックの皮を静かにはがして、お皿にのせる。真ん中を手でくぼませて、1/4の中身を置き、卵をその真ん中に割り入れる。皮をオムレツの形になるようにふたつに折って、皿から滑らすようにしてフライパンに入れる。すると、皮がしぼんでみごとにくっついてしまうから、中身がもれません。中くらいの温度の油で揚げていく。片面がきれいなキツネ色になったら、フライ返しなどを使って慎重にひっくり返し、もう片面もキツネ色になるまで揚げる。数分でできあがる簡単料理です。クッキングペーパーの上に置いて油をよく切ってから食卓へ。レモンをかけて頬ばります。カリッとした皮、流れ出す黄身、ツナを混ぜ合わせながら味わいたい。軽い食事なら、このブリックに野菜サラダを添えれば十分だ。(実)
●feuilles de brick
四角い形のものもあるというが、スーパーやマグレブ系の食料品店で売られているブリックの皮は、直径30センチくらいの円形で、くっつかないように、一枚一枚薄紙に挟まれている。こわれやすいので慎重にはがしましょう。少し古くなって乾いているものは、折ると割れてしまう。そんなときは、両面をぬれ布巾に優しく押しつけると、弾力が戻って扱いやすくなる。好みの味付けをした挽き肉、レバーペースト、魚、エビなどを置いて、オムレツ形、三角形、葉巻形などに折り畳んで揚げてみよう。10枚入り7フランと安いのも魅力だ。
●チーズ入りブリックbrick au fromage
フェタチーズをボールにとり、フォークの背でよくつぶす。ここへ松の実、なかったら、細かくつぶしたアーモンドやクルミ少々を加えてペースト状にする。これを半分に切ったブリック皮の手前に置いて、中身がもれないように三角形に折り畳み、中くらいの温度で揚げることにしよう。地中海にいるような気分になってしまうアントレだ。
●チュニジア風サンドイッチ
casse-croute tunisienと呼ばれるチュニジア風サンドイッチの作り方をながめているのは楽しい。まずずんぐりとした丸パンを二つに切る。切り口に、スプーンを使って唐辛子ベースのソースをこすりつけ、小さく切られた酢漬けのカリフラワー、ニンジン、キュウリ、ピーマンを置き、その上にツナを細かくほぐしながら乗せ、黒と緑のオリーブをばらまき、最後に緑と赤の唐辛子が2本で、キマリ。パンの間から中身がもれだしそうなボリュームに、最初は誰でもたじろいでしまう。大口を開けて食べるのが大変だったら、中身をつまみながら、パンをかじることにしよう。17~20フラン。