ベルリン映画祭で拍手喝采された。 “Gouttes d’eau sur pierres brulantes”

 『焼け石に水/Gouttes d’eau sur pierres brulantes』は、ドイツの天才、故ファスビンダーが19歳の時に書いた戯曲を、フランスの気鋭、フランソワ・オゾンが映画化した作品だ。そのカラー使いや装飾美術で、我々を70年代の雰囲気に誘う映画の冒頭から、もうキマリ! 主題は”カップル”…ヒトは愛した相手と同棲する習癖をもっているが、それは決して容易なことではない… 永遠のテーマだ。
 物語は、中年の男レオポール (ベルナール・ジロドー) が、街で拾った (?) 若者フランツ (マリク・ジディ) を家に連れ帰って来るところから始まる。二人は愛し合い、自然に同棲生活へ突入。しかし “日々の泡” の中で二人の関係はしだいに擦れてくる。些細なことで言い争い、下らないことが喧嘩の種になる。二人の間の力関係が微妙にもつれ合う。ここでは、ゲイのカップルの話になっているが、この問題は同性愛云々とは関係なく、すべての形のカップルに当てはまるということは言うまでもない。そして、悲しい結末で映画は終わるのだ…。
 驚くことがいっぱいある。先ず弱冠19歳の若者が、この戯曲を書いたという事実、その若さでよくまあここまでの人間洞察力があったものだ。次にオゾンの映画監督としての演出力の凄さ。室内劇を一瞬も退屈させず最後まで引っ張る。久しぶりっていう感じのベルナール・ジロドーが大ブレイク。新人の二人、マリク・ジディと、フランツのそもそもの恋人だったアンナ役のリュドヴィーヌ・サニエも大発掘ものの演技を見せる。そしてレオポールの昔の同棲相手ヴェラを演じるアンナ・トムソンの圧倒的存在感。
4人が揃って踊るシーンはこの映画の白眉。2月のベルリン映画祭での上映では場内拍手喝采、大ウケだった。(吉)