投影されるイメージでフォルムを再構成。 James COLEMAN展


 1941年、アイルランドのダブリンで生まれたジェームズ・コールマンは、コンセプチュアル・アートの作家として国際的に知られている。60年代末から、写真、スライド投影、ビデオ、映画、さらには「活人画」の人物たちなどに頼りながら、伝統的なフォルムをくずそうと試みてきた。コールマンにとって、こうしたさまざまの媒体は、すべて “投影されるイメージ” という共通点を持ち、表現あるいは意味の誕生というメカニズムを問い直したり、時間、記憶、知覚の相互関係を探ることを可能にしてくれる。これらの “投影されるイメージ” は、記憶や知覚に訴えかけることによって開かれた空間を創り出し、作品のコンテキストの中に観客を組み入れる。こうして観客は、解釈するという積極的な役割を持つことになるのだ。
 ここで展示中の2作品は、いずれもスライド作品である。”Photograph” は、少年少女が演劇の稽古をしながらさまざまなポーズをとっている姿を撮った一連の作品で、スライド投影中に、幻想と遊戯と想像力が支配している子供の世界を喚起する、ロマン派の詩が女性の声で朗読される。しかし、イメージと詩の内容は一致しない。
 ”Connemara (アイルランドの一地方) Landscape” は一枚のスライドだが、投影されるイメージは謎めいている。抽象的な線が錯綜しているので、何を表わしているのかわからないものの、タイトルは現実に存在するアイルランドの風景を指している。意図的に歪められた、アナモルフォーズ特有のイメージを前にして、私たちは、風景のイメージを再構成することができるアングルを見つけ出そうと、努力することになる。そのとき誰がイメージを投影しているのだろうか? 作家だろうか、観客だろうか?(マルク/訳 : 真)
*Galerie Marian Goodman :
79 rue du Temple 3e 4月1日迄。


科学と芸術の間で。Le mouvement en lumiere
 エティエンヌ=ジュール・マレ (1830~1904) は、生涯をかけて生体のメカニズムを解明しようとした生理学者である。その仕事は、血流や神経反応などの生命現象を、彼自身の発明による測定装置を使ってグラフ化することから始まり、その後、クロノフォトグラフ (動体写真術) や映像の技術を得て、昆虫の飛翔、動物や人間の運動のメカニズムの謎へと迫ってゆく。19世紀末という、新しい技術と芸術が次々と産み出されていった時代の中で、科学者の彼の仕事は、前衛芸術家たちの仕事と重なり、彼らに多大の影響を与えることになる。実際、飛ぶ鳥の動きを再現したブロンズ像は、20年も後になって未来派が呈示した “時間を表現した彫刻” そのものだ。生物を機械として捉えた彼の徹底的な分析の中から生まれた数々のイメージは、模型や計器に至るまで、まさに芸術的で美しく、想像力をかき立てる。しかし彼は、写真の革命家、映画の創始者と評されながら、結局は科学の領域に戻ってゆく。彼が見つめていたのは、あくまで自然の法則だったのだ。探求心と創造性に満ちた科学者の軌跡を辿る、貴重な展覧会だ。(知)
*Etienne-Jules MAREY/
Le mouvement en lumiere
Espace Electra : 6 rue Recamier 7e


●Daniel ESTRADE (1954-) <Mana>
皮紙に細密描写された水彩画。魚の鱗、赤い種、オセアニアの護符やマスクが平面の中で命をもつ。3/12迄
Galerie Vanuxem: 54 rue Mazarine 6e
●Wolfgang SEIERL (1955-)
作曲家でもあるオーストリア人アーティストが描く、水のイメージ。3/23迄
Galerie Akie Aricchi: 26 rue Keller 11e
●Bernard BUFFET (1928-1999)
昨年秋に自ら命を絶ったビュッフェの最後の作品。テーマは “死”。3/31迄
Galerie Maurice Garnier: 6 av. Matignon 8e
●Bettina RHEIMS & Serge BRAMLY <I.N.R.I.>
キリストの生涯をたどる85のイメージ。写真で表現された現代のイコン。4/2迄
Maison Europeenne de la Photograhie: 5-7 rue de Fourcy 4e (月火休) 
●<Pulsion>
スイスの若手アーティスト10人がそれぞれの視点で人間の体を考察。4/9迄
Centre culturel suisse: 38 rue des Francs-Bourgeois 3e (月火休)
●<L’autre moitie de l’Europe>
旧東欧共産主義諸国の現代アーティストを4回に分けて順次紹介する展覧会の第2部。今回のテーマは<現実社会/実存/政治>。カバコフをはじめ、ロシア、ブルガリア、ポーランドなどの作家の作品を展示。3/14~4/9 (月休)
Jeu de Paume: 1 place de la Concorde 8e
●Yann CHARBONNIER (1964-)
人間のなかの獣性を暴く写真作品。
カーボン印画紙に焼き付けた白黒プリントが独特なマチエールを放つ。4/15迄
Galerie Karsten Greve: 5 rue Debelleyme 3e
●Zoran MUSIC(1909-)とヴェネチア
イタリア人。レジスタントだったため戦時中は収容所で過ごす。ヴェネチアを主題にした作品約100点と、美術館所蔵のカナレットなど18世紀ヴェネチア絵画を同時に展示。4/16迄(月休)
Musee Cognacq-Jay: 8 rue Elzevir 3e
●<Le Temps, vite>
先史時代の石器、中世・現代の絵画、音響、写真、立体など約400点の作品から人と時の関係を考える。4/17迄
ポンピドゥー・センター (火休)
●BRASSAI-PICASSO <光との会話>
友人だった二人が絵画と写真の狭間で
コラボレーション。5/1迄(火休)
Musee de Picasso: 5 rue de Thorigny 3e
●<Magnum, Essais sur le monde>
カルティエ・ブレッソン、キャパらが生んだ報道写真エージェント「マグナム」設立50周年記念のエキスポ。1989~99年に世界で何が起こったのか。5/7迄
国立図書館 Galerie Mansart: 58 rue de Richelieu 2e (月休)
●<アジアの美術品>
J.D.ロックフェラーIII のアジア美術コレクションから。5~17世紀のインド、ネパール、タイ、中国や日本の彫刻や陶器を81点展示。5/14迄(月休)
Musee Cernuschi: 7 av. Verasquez 8e