いよいよ2月1日から35時間制第2法が20人以上の企業 (20人未満は2002年から)に適用される。昨年12月15日に国民議会を通過したが、上・下院の野党議員が憲法評議会に審査を付託。1月13日、同評議会は 4点を不適合としながらも主要点を認めた。第2法は第1法よりさらに複雑で、労使とも秒読みの就労時間に神経を使うセカセカしたムードが支配しそう。
●年間労働時間:1600時間と規定したが、憲法評議会は職種によってそれ以上も認めるべきと回答。第2法は、時期により労働時間を変えるフレックス・タイム制も認める。就労時間が一定でない幹部クラスは所定外勤務者として22日間の代休をとれる。就労日数は年217日とする。
●実働時間:昼食・休憩時間を含むが、作業着等の着脱時間は割増賃金に換算するか代休に加算。代休時間の累積は年22日まで認められ、5年以内にまとめて数十日分の代休をとることもできる。
●超過勤務:35H*制の企業には35H以上39Hまでの割増賃金を+25%、非35H制の企業は+15%とし、さらに10%を時短援助基金に払い込むことを義務付けたが、憲法評議会はこの点を賃金の不平等とみなし割増を一律+25%とし、10%の基金払込み条項を排除。皮算用していたこの収入がなくなり、政府は今年度の援助資金70億フランを他所に求めざるをえない羽目に。
●企業負担軽減:第2法には、第1法(10%の時短に対し6%採用) のように新採用の義務はなく、35H制にすれば企業の社会保障負担を社員1人あたり 年4000F軽減。
●SMIC(最低賃金):35H制の企業の最低賃金労働者には、従来の39H分のSMIC (+11.4%)が援助金により2005年まで保証される。パート及び新採用のSMIC労働者にも同率のベアが適用される。
●人員削減規制:人員削減は35H制の労使協定を結ぶ企業に許されるとしたが、憲法評議会はこの案を全面的に拒否した。
オーブリ雇用相が2年間孤軍奮闘してきた35時間法だが、昨年11月までに民間社員の28%、約240万人が35H制の労使協定を結び、それによって新採用された者、解雇を免れた社員は約13万8000人にすぎない。最近の失業の減退は景気回復によるもので35H制の効果とはいえない。
35H制になった社員が、余暇が増え満足しているかというとそうでもない。銀行、通信、郵便局、デパートで、変動時間制での不規則な時間帯や超過勤務時間の代休条件、給与凍結などに対し、昨年秋以来ストが各部門で頻発。
いままで39時間でこなしてきた仕事量を35時間でしなけれればならないのだから、昼食、休憩時間も短縮、同僚とおしゃべりするヒマもなく、経営者も社員も時計を見ながらの毎日ではストレスも倍増。35時間制でフランス人の体質が変わるには時間がかかりそうだ。 (君)
*H=時間
35H制になったら余暇をどう過ごしたい?
1) 休養
2) 子供の世話
3) 旅行
4) スポーツ
5) 大工・園芸
読書・音楽鑑賞/美術館・展覧会・映画/
料理/ボランティア活動/研修 と続く。*99/9/10-11日にサラリーマン 457人に行ったIPSOS調査 (Libération : 99 /12 /15)