クリスマスのチーズというとやっぱりヴァシュランだ。フランシュ・コンテ地方の山地で飼われている放牧牛の、香り高く濃い牛乳から作られるチーズ。モミの木の一種、エピセアの樹皮の輪っかがはめられ、やはりエピセアでできた棚の上で3週間以上かけて熟成される。軽く塩水で洗われた皮はバラ色がかった黄褐色
で、ビロードのような光沢を持ち、しわが寄っている。そして、かすかにエピセアの樹脂とカビの匂いを漂わせている。皮をナイフで薄くきれいにはがすと、白
い身があらわれる。これを小サジですくって口に入れると、やはりかすかに樹脂の香りを持った身がとろけるようだ。ワインは、クレピーやルセットなどのサ
ヴォワ地方の白がいい。このチーズは大きさがさまざまだし、食べきってしまう方がいいので、食べる数日前にチーズ屋さんに「6人分です」などと頼んでおく
のがいい。ちょうどいい大きさで食べごろのものを選んでくれるはずだ。