虐待地獄にはまったジョニー君。

  9月28日から4日間にわたってエピナール重罪裁判所で、ジョニー君(6)虐待容疑者の裁判が開かれた。ヴォージュ県メニル・アン・ザントワ村の一貧困農家で、1996年当時3歳半のジョニーに母親サンドラ(25)と義父、母親の叔母(51)、その嫁(26)が「日常的に拷問、野蛮な虐待をし、食事らしいものを与えなかったこと」と、叔母の夫や息子が「児童虐待を告発することを怠った」容疑に対する公判だ。
 サンドラは私生児で、アル中の母親に虐待に近いおしおきを日常的に受けて育ち、父親のように慕っていた叔父(57)に13歳から性的虐待を受けた。その罪で6年間服役した叔父も私生児で、母親に虐待された経験を持つ。サンドラは19歳でジョニーを孕むが男に逃げられる。赤ん坊は生後8カ月で里親に託されるが、95年に母親が結婚し家に引き取られる。その後、失業中の義父は娘サンディが生まれてからジョニーをなぶり者にする。家族で居候する叔母の農家の台所で、サンドラ夫婦に叔母、嫁も加わり集団虐待が繰り返されるようになる。「寝小便をしたから、夜に音をたてたから、冷蔵庫からとって食べたから」とジョニーを柱に結わえ、「私生児! 腑抜け!」と怒鳴りながら、虐待ごっこを楽しむかのように殴り、蹴り、鞭の柄や鍋、フライパンが凹むまで全身を殴打、床のタイルに頭を叩きつけ、あるときはパスティスを口に注ぎ込み、物置に、最後には豚小屋に閉じ込めた。電気工事に来ていた人が豚小屋の前を通りかかったとき子供の呻き声を聞いて警察に届け、ジョニーの虐待地獄が発覚。以来ジョニーは再び里親に託され、母親は拘置所に。
 10月1日、陪審員らは、ジョニーを「殺そうとした」母親に求刑より重い懲役刑15年、義父に8年、「ナチ収容所監視員にぴったり」と検事に糾弾された母親の叔母に15年、その嫁に12年、叔母の息子に5年(執行猶予2年)、虐待を告発しなかった母親の叔父に2年(執行猶予1年)、同様に叔母の夫に執行猶予2年の判決を下した。
 9月14日に発表された「98年度児童虐待報告」によると、健康・教育・安全面でないがしろにされている児童は 6万4千人、被虐待児は1万9千人と、合計8万3千件が告発され、そのうちの4万9千件が児童相談所に通告されている。しかし、なかには虐待の痕と思われる痣を報告したために、逆に親に訴えられた保健婦や開業医もいる。刑法では、虐待を告発することを怠ると懲役刑最高3年と30万フランの罰金刑が科されるのだが。
 児童虐待の理由として失業や離婚、アル中などが挙げられるが、ジョニーの母親も彼女を犯した叔父も私生児で、母子家庭内虐待の体験者だ。ジョニーも無意識のうちに同じ道をたどるかもしれない。自分が被害者であるということを意識できるようにと、児童福祉係員はぬいぐるみのクマを抱いた幼な子を数分出廷させ、彼を虐待した大人たちの犯罪人としての姿を見極めさせている。虐待者を罰するだけでは問題の本質は解決されないということだろう。(君)