ペタンク、トランプ、チェス、テニス。
「雪が降ってもやるよ」というおじさんもいるペタンク場。ここでプレーするには、クラブに年会費150フランを支払う。バスケット、トランプ、チェスも自由なので参加させてもらう。
※2009年5月時点23€
6面あるテニスコートはパリ市の運営。まず”PARIS-TENNIS”のカードを発行してもらう(パリ市内の他のコートにも有効)。庭園内の事務局にもカード申請書があるし、区役所でも手続きできる。カードが家に送られてきたら、ミニテルでコートを予約。1時間38フラン、平日の11時前は21フラン。
※2009年5月時点7.5€
小ヨットで航海を楽しむ。
海が空の色によって色を変えるように、庭園中央にあるこの人工池も日によって水の色が変わる。ここで模型のヨットと1メートルほどの棒を借り、水面に船を浮かべ、棒で押して進ませる。池の上は風が円を描くように吹くので、たいていヨットはうまい具合に進むのだそうだ。上院の屋根の上のフランス国旗がなびく方向で風向きがわかる。1830年ごろから始まったというこの遊びの責任者はマダム・ポドー。一生船乗りだった彼女の夫が存命中に、ヴィスコンチ通りの工房でこれら船の模型を作っていた。彼が亡くなってからは、息子さんとマダム・ポドーが修繕にあたっている。作り手がいなくなった今は、ほかの人に作ってもらうかプラスチック製のものを作るかの選択を迫られている。
鳩とヘミングウェー。
42年前からブランコ (1回8フラン)の番をしているマダムは、その昔、ヘミングウェーがここに来てはブランコが揺れるのを眺めていたのを憶えている。”パリ狂乱の20年代”、ヘミングウェーは貧乏で食べるものがなく、公園の鳩を餌でおびき寄せて捕まえては食べていたという。ヘミングウェーは、揺れるブランコを眺めながら、そんな経験をぼんやり思い出していたのかもしれない。
子供たちの歓声が響きわたる。
デザルティス氏は1933年ここにギニョール劇場を創設し、60年以上演じ続けた。「60年以上の間、数百万人の観客に楽しんでもらったことを光栄に思っている」と言いのこし、数年前にこの世を去った。子供が大人になり親になって、そしてパピー、マミーになり、孫たちを連れて同じ人形劇を観に来る。今日も劇場に子供たちの叫び声が響きわたる。『三匹の小ブタ』ほか。
彫刻たち。
ルイ・フィリップ時代に、特に増えたという彫刻たち。現在100体以上もある。一時はロダンやピガルの作品もあった。ヴィクトル・ユゴーはこれらを15歳のころから愛していたというけれど、「胸像ばかりで墓場のようだ」、「冷たい感じがする」という意見もある。上院は「庭園を彫刻たちにこれ以上占領されて
は」と、彫刻を増やさない方針。一番の新顔は、ザッキンの彫刻「詩人、またはポール・エリュアールへの讃辞」。ユッソンの彫刻を撤去して新しく据えられることになった。
アダルトな雰囲気が漂う。
「メディシスの噴水にちかく、それを見わたす並木道のところで、毎週水曜日の4時と6時のあいだに、彼の友だちのいく人かが落ち合うことになっていた。彼らはそこで、芸術、哲学、運動、政治、文学を語り合うのだった。」(山内義雄訳)
ジッドの『贋金つかい』の主人公ベルナール・プロフィタンディユ青年は、朝一番の新鮮な空気を吸ったり、ひとりで考えにふけったりするのにも、この水辺を気に入っていた。愛を語り合う羊飼いのガラテとアシスの頭上に、一眼巨人が石を落とそうとしている彫刻がある。オッタン作のこの彫刻、発表された時は「不穏」と批判された。なるほど彫刻は見れば見るほど官能的。周囲にはアダルトな雰囲気が漂う。
緑のキオスク。
駄菓子や玩具を販売するキオスクは1880年に上院が設けた。現在は7つ残っている。
おばあちゃんたちに人気があるのはリコリスの飴。ウラウープ (フラフープ) 35フラン。棒付き飴チュッパチャプスは庭園の入口前の店より50サンチーム高い。アイスクリームも2玉になると、庭園内は4フランも高い。
リュクサンブール産ハチミツ。
フランスで最も古い養蜂学校は、etouffageという、ミツバチを窒息させてハチミツを採取する方法に対抗するために、1856年ここリュクサンブール庭園に開校された。以来、戦争中も途切れることなくずっと授業が続けられている。ジョルジュ・ブラッサンス公園にも巣箱がある。理論から実習まで、1年間110時間かけてみっちり学びたいという人は、10月が登録のチャンス (01.4542.2908)。登録料568フラン+協会への加入料157フラン (外国人は 220フラン)。
※2009年5月時点165€
リュクサンブール産ハチミツは、毎年ここで開かれるExposition d’automneで売られる。
体重計。
「おい、そういやぁ最近ずっと体重計ってなかったよな~」1フラン硬貨投入、長い針がグワーンと動く。
「やっぱり増えてた!」
マロニエの木陰から音楽が流れる。
大きな音楽キオスクでは、初夏から文化祭的なノリの演奏会が催される。わざわざ足を運ぶほどではないかもしれないが、マロニエの木陰から流れてくる音楽は気持ちがいい。
5/20 (木)14:00 The chorvettes (Oklahoma)
5/22(土)15:00 Luxembourg dixies melodie
5/28(金)13:00 Schepherd College choir & band
5/29(土)15:00 Ecole Anglaise Kings School
カフェくらべ。
サン・ミッシェル通りの入口近くのカフェは、座って陶器のカップで飲めて10フラン。人形劇場向かいのカフェは、セルフ・サービス、発泡スチロールカップで外に座ると9.50フラン、カフェ内だと陶器だが13フラン。前者の方が落ち着いていいけれど、併設の菓子屋の品揃えでは、後者の方が娯楽性が断然高い。綿菓子16フラン、色鮮やかな蛇ゼリー。棒付き飴 “チュッパチャプス” Maxiは6フラン。ガチャガチャのなかにはスーパーボール。
13世紀からの果樹園。
その昔、リュクサンブールにあったヴォーヴェ城には悪霊が宿っているという噂があった。悪霊祓いのために、カルトジオ修道会が居を構えたのが、1257年のことだ。彼らの果樹園の評判は17世紀にはヨーロッパ中に広まった。現在600種ある梨やりんごの中には、そのころ栽培されていた品種がまだあるという。
庭園の植物、上院内を飾る花などは温室で栽培されている。中には世界有数の蘭のコレクションや、国際的な植物展で賞を獲得している優秀な植物たちもあるけれど、見学は不可。一方、リュクサンブールの庭師さんによる園芸講座は一般向け(01.4325.4303)。1809年から続く伝統ある講座だ 。
*ガイドつき庭園見学は、6月なら毎週水曜日。9h30、Place Andre Honorat、鉄格子前に集合。
3000脚の椅子たち。
庭園内の椅子は20年前から無料になった。以前は一脚20サンチームから。椅子のタイプによっては料金が異なった。
太極拳。
早朝から、庭園のあちこちで太極拳をやっている人たちの姿を見かける。参加費はグループにもよるが、50フランくらい。
子供の遊び場。
サルトル少年がチャンバラで斬られ役をやっていたのは、おそらく庭園西部。伝統的に子供の領域なのだ。
6歳未満のための、jardin d’enfantsはチェスおじさんたちの横あたり。ミニ・アスレチック場は13歳未満のみ。入場料14フラン、大人7.50フラン。出る時は、手にハンコを押してもらうから再入場も可。ハンコは毎日色が変わる。15カ月未満の幼児は無料。
Halte Garderie (託児所) は年間登録者のみ。
今日一日もおしまい。閉園です。
日の長さにより16 : 45 から21 : 45と異なる閉園時間。今は笛が合図だけれど…。
「しばらくすると、太鼓の音が閉園を知らせて鳴り渡った。最後の散歩者が、いやいやながら、番人に追われて、出口のほうへ急ぐ、すると彼等の後に人影をとどめない広い並木道が神秘に満ちて残るのだった。こんな晩、僕は、影と、魔と、不可思議に酔うたような気持ちで眠りについたものだ。」*少年ジッドは父親とのリュクサンブール庭園の散歩のあと、こんな幸せな眠りにつきましたとさ。めでたし、めでたし。
*ジッド『一粒の麦もし死なずば』 (堀口大学訳)
※上記は1999年5月の記事です。価格他、記載の情報が現在とは異なりますが、ご了承ください。