最新映画情報

●Festen
オールロケーションでしかも自然の光だけで撮影を行う、など10項目の決まりに沿って映画を作る運動Dogme 95。Lars von Trierに続いて、若干29歳のデンマークの監督トーマス・ヴィンターバーグの作品が昨年のカンヌでも話題になった。シャトー・ホテルを経営するヘルジュの60歳を祝うために、親戚や友人が集まったパーティーで、彼の長女の自殺の原因が明かされていく。美しい妻と3人の子供たちに囲まれて一見幸福そうに見える家族像の裏に隠された人間の情欲やエゴイズムが、ビデオの映像を通して暴かれる。パーティーを台無しにする長男の言動や、次女の連れてくる黒人の恋人を前にしても必死で平静を装おうとする参加者に、北欧的な「臭いものには蓋をしろ」窺えて恐い。(章)


●L’Orchestre souterrain
ここでいう地下とは、パリの「地下鉄」と、やはり外国人(オランダ人)である監督ヘディ・ホニグマンが目を向けた外国人移民ミュージシャンたちの「隠(さ)れた」生活の2つの意味を持っている。 メトロ内での撮影禁止にあい、地下から外へと行動範囲を広げたのが幸いして、内容にも絵にもさらに色が加わりとても豊かなものになっている。コロンビア出身のハープ奏者、ルーマニアから政治亡命した後パリに来て、息子をコンセルバトワールに入れたばかりのチェロ奏者、マッチ箱のようなアパートに家族と暮らすマリ出身の女性歌手…作り手の視点があまり見えないのは少し残念だが、余分なメッセージやナレーションを入れず、録音した生の声や音楽を生かしたことが、音楽を愛する人々と彼らの日常の喜怒哀楽を素直にとらえることにかえって成功した、その秘訣なのだろう。(海)



●ジム・ジャームッシュ特集
80年代後半は、映画に新しい波が押し寄せてきた。東欧からはカウリスマキ、キエシロフスキ、クストリッツァ、中国からはシャオシエンやイーモウ、アメリカからは欧州映画に大きな影響を受けながら新しい映画感覚を創り出したジム・ジャームッシュ…。そのジャームッシュの全作品が2月9日まで上映されている。
 学生時代に撮った初長編『Permanent Vacation』は、ニューヨークで生きる16歳の少年が主人公。都会風景の描写やミニマルなセリフの効果などはすでにジャームッシュ的。『Stranger than paradise』は、どこかギクシャクした3人の若者の姿がワンシーン・ワンショットを多用したカメラでフォローされていく。生活の余白を淡々と撮っているようでいながら、彼独自の映画手法で心の放浪を的確にキャッチ。主演のジョン・ルーリーが作曲した音楽も秀逸だ。『Down by law』は、ロベルト・ベニーニ、トム・ウェイツ、ルーリーのトリオから不思議なユーモアがにじみでるロード・ムービー。白黒の映像が冴え、スクリーミン・ジェイ・ホーキンズが歌う「アイ・プッタ・スペル・オン・ユー」がルイジアナの風景に重なる。『Mystery Train』は、工藤夕貴と永瀬正敏など3組の異邦人がメンフィスのホテルに泊まる。エルヴィスの亡霊の影が横切り、夜に優しさが匂う。『Dead Man』は、死を体内に抱き込んだウイリアム・ブレイク(ジョニー・デップが熱演)の旅。この死者の旅を導くインディアン”Nobody”の白人文明批判が痛烈だ。音楽はニール・ヤングのギターソロ。『Year of the horse』は、そのヤングとクレイジー・ホースのツアーを追ったドキュメンタリー。一ファンの熱い心が脈打っている傑作。(真)
*Grand Action : 5 rue des Ecoles 5e
01.4329.4440