自然が生んだ力強さ、 美しさ… “ETRE NATURE “

“Nature Demiurge”
Collection Anne et Jacques Kerchache
Daniel Jouanneau
“自然のままで” というテーマで集められた19人のアーティストの作品を展示するこの展覧会は、訪れる人をただ作品を鑑賞するだけにはとどめさせてくれない。初めて一般公開されたという Jacques Kerchache の収集した昆虫のコレクションが、私たちに様々な問いを投げかけてくるのだ。標本になった蝶やこがね虫の形態や模様にじっと見入る。自然が生んだ力強さ、美しさに驚き、途方に暮れてしまう。私たちは一体、この完璧な作品を前にして、どこにアートの意味を見いだせるのだろう。
 Tim Hawkinson の自分の爪と毛髪を細工して作った鳥や羽。小さなオブジェから、その大きさとはまったく別の次元での広がりを感じることができ、華道家ナカガワ・ユキオの花を肉感的にも暴力的にも見せる写真は、私たちが花に対して持つイメージを、ものの見事に壊してくれる。また、壁一面の小さな水滴がふくらんでは流れて消える Ann Hamilton のインスタレーションからは水のつぶやきが届き・・・。どの作品からも作者と素材・時間との誠実な対話が聞こえてくる。
 大きく力強い Frans Krajcberg の彫刻は、焦がした木のマチエールや、フォルムが深呼吸したくなるほど気持ちよい。どこか昆虫を想像させるのは偶然だろうか。作者が自然の本質に触れ、作品が必然的な美しさを持つと、きっとこうした共通性が生まれるのではないだろうか。その構図はまるで “自然” というフラクタル図形の一部に組み込まれていくようだ。そんな作品はきっと、私たちには見渡すことのできない自然の全体像を相似形として感じ取らせてくれるに違いない。
 アートが、単にエゴを満足させる手段ではなく、私たちが生きるこの世界の、人間を通ってしずくとなったエッセンスのようであってほしい。

(仙)

*Fondation Cartier : 261 bd Raspail 14e
月休 9/20迄(子供ビジター用コース / 水曜 14h : 8-12才、16h : 4-8才)01.4218.5667

 

アルル国際写真祭 98
ペルピニャンでは報道、カオールでは造形美術、アンジェではスクープ・報道とフランスには写真祭が幾つもある。専門化されたこれら写真祭のなかで、アルルは報道/広告/造形のように分類せず、写真を全般的に扱う。たとえば、昨年はボルタンスキーの展示と歴史的な記録写真展を対向させたり、今年はベネトンの広告に報道写真を使うO・トスカーニを討論会に招いたりしている。アルル国際写真祭 29年目の今年のテーマは「新しい人間の風景」。上映会、討論会などは7月で終了したが展覧会は8月16日まで。イタリア報道写真の礎となったF・パテラーニ、ショービジネスの人間をフィクションの世界に放り込んで痛快な作品を撮るD・ラシャペル、アメリカ、アーカンソー州の写真館で地元の農民を撮り続けたディスファーマーなど。

(美)


● Marie VASSILIEFF (1884-1957)
モンパルナス美術館が 5月に開館。蔦に覆われた露地にある小さな美術館は、ロシア人ヴァジリエフのアトリエだった。彼女は第一次大戦時の困窮時代にアトリエを食堂として開放し、レジェ、フジタ、ブラック、ピカソらモンパルナス派画家たちを迎え入れ、彼らのオアシスとした。彼女の絵画、風刺画、コラージュと同時に、カルティエ =ブレッソンらによる画家たちのポートレート写真を展示。10月中旬迄
Musee du Montparnasse :
21 av du Maine 14e (13h-19h 月火休)
● Jacques LIPCHITZ (1891-1973)
1901年リトアニアから来仏しキュビスム運動に参加、41年に米国、62年にイタリアに移住。ブロンズ彫刻20点をパレ・ロワイヤル庭園に野外展示。 9/1迄
● Victor VASARELY (1906-97)
幾何学的抽象造型、シネティスムの先駆者ヴァザルリの1945~63年の20点を中心に、他の作家の作品も展示。 9/9迄(月火祭休)
Musee Tavet-Delacour : 4 rue Lemercier, Pontoise (北駅から終点 Pontoise)
●カチナ人形
米西南部の先住民インディアン Zuni、 Hopi族が家族の安泰を祈り奉納した 木彫の人形と宗教的祭に被るマスク は、Kachina と呼ばれ、プリミティフ アートの傑作としてブルトン、エル ンスト、デュシャンらのシュルレア リストたちや、マルロー、レヴィ=ス トロースらにも注目された。彼らの コレクションから 140点を展示。 10/25 迄 (月休)
Pavillon des Arts : Forum des Halles
●チェコ写真展 <1918~48>
アヴァンギャルドとして注目されたチェコの写真家の作品170点。9/13迄(月休)
Mission du Patrimoine photographique : 62 rue St-Antoine 4e
● <樹>
「樹」をテーマにしたザッキンやモンドリアン、クレー、 ドラン たちの作品を展示。 10/11日迄 (月休)Muse Zadkine:100bis rue d’Assas 6e
● ロダンのバルザック像
1898年作バルザック像ができるまでのデッサンや習作の塑像等。9/13迄 (月休)
ロダン美術館 : 77 rue de Varenne 7e
● Richard TEXIER
放浪を続け、海のブルーに魅せられた作家の絵画と彫刻の回顧展。9/14迄 (火休)
Musee de la Marine : Palais de Chaillot
●コクトー <デッサン展>
1915年にピカソに出会ったコクトーの表現の移り変わりを追う未公開のデッサン、パステル、絵皿他 300点。10/4迄Louvre des Antiquaires: Pl.du Palais Royal 1er (月休、8月は日月休)

 


 

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