涼しく、 心が暖まる映画。 『コールド・フィーバー』 監督 : フリドリック・トール・フリドリクソン N° 420 1998-07-15 暑~い夏に、涼し~い映画! なにしろアイスランドの映画ですから凍てついてます。景色を見ているだけで汗がスーっとひきます。でも、ホラー映画ではないので背筋に悪寒は走りません。かわりに心が暖まります。 実はこの映画『コールド・フィーバー』は日本ではとうに公開済み。ARTEでも放映済みだと(真)さんが教えてくれたけど、地味目な映画の劇場公開を応援したいので“よろしく!”です。 珍らしい国の映画なので、思わずアイスランドを地球儀の上で探したら… 大西洋の、すんでのところで北極圏に入る手前にポツンと浮いてる島国… 人口たったの26万人のこの小国にも映画は存在した! しかも、この作品には日本が深く絡んでいる。話は東京から始まり、主人公のHIRATAを演じるのは永瀬正敏だ。 日本の典型的サラリーマンであるHIRATAが、アイスランドで事故死した両親の供養に行くロードムーヴィーである。 それだけの話で、他に書きようのないストーリー。こういう映画は、たゆたう流れに身を任せ、主人公といっしょに、見たもの、聞いたこと、出会った人々に“へぇ~”と感心すれば良いのだ。HIRATAが連発するように、アイスランドは変な国だ。そして妙に日本と共通点がある。 日本が絡んでいるというのは、話の展開上だけではなく、東と西の二つ島国には「火山があって温泉が湧いているので、体が冷たくなった死者達の魂が暖をとるために集まっている」という共通基盤があると監督のフリドリック・トール・フリドリクソンは唱える。日本では同監督の『春にして君を想う』も公開されている。やはり感性が合うようだ。雪に埋もれた川っぷちでの “とうろう流し” に、ジーンっと来た。お盆も近い。 (吉) Share on : Recommandé:おすすめ記事 第19回 キノタヨ現代日本映画祭20年の節目、女性映画人を表彰する「岸恵子賞」創設。 【シネマ】 L’INCONNU DE LA GRANDE ARCHE 不当に無名な新凱旋門の設計者 斬新な表現が集まる日本の無声映画特集、パテ財団で。 【シネマ】イラン人監督の本年度を代表するフランス映画。 【cinéma】パレスチナの人が何を感じているのかを、人間的な視点から知りたかった 〜『手に魂を込め、歩いてみれば』 新作能『長崎の郵便配達』