「昼ごはんはどこにしよう」と編集部の同僚とサンマルタン運河沿いを歩いていたら、ユーゴスラビア料理専門の店があった。1969年の開店当時は、ユーゴスラビアはまだ一つの国だったのだ。床だけでなく壁にもじゅうたんが張られた暗い店内は、まだ行ったこともないのに「ナルホド、これがベルグラードの雰囲気か」などと納得してしまう。 78フランの昼のメニューをとってみた。前菜は、サラミ、燻製ハム、生野菜の盛り合わせで、赤ピーマンのピュレが添えられている。サラミやハムはもちろん、サクサクと歯切れのいいキャベツもおいしかった! お国自慢の赤ワインの半ボトル (お昼だったので) を頼んだら、「半ボトルはないんですよ。お二人なら一本 (90F) 軽いでしょう」とご主人。ユーゴスラビアには酒豪が多いのだ。 メインは、大きな赤ピーマンにごはんと挽き肉を詰めた一品とグラッシュ。前者は赤ピーマンの香りが素晴しかった。グラッシュの方は、パプリカがきいてなかったのは惜しかったが、しっとり柔らかく煮上げられた牛肉は見事。 デザートにはリンゴの砂糖煮をパイ皮で挟んだお菓子。リンゴの味が濃くてあっという間におなかにおさまった。 「炭焼きグリル、キャベツの詰め物、燻製肉を白インゲンと煮込んだユーゴスラビア風カスレも今度味わってみてください。夜は毎晩9時ごろからミュージシャンの演奏もあってにぎやかですよ」 コーヒーを飲んで一人130フラン。アラカルトだと150フラン~。(実)
10区、11区には、 “バルカン半島の特産品 spécialités balkaniques ” という看板を掲げてユーゴスラビアのおいしいものを売っている店が多い。 煮込みに使われる燻製肉やソーセージ、そのまま薄く切って食べられるサラミやソーシソンの数々、ギリシアのフェタチーズそっくりのチーズ、酸味が柔らかくコリコリ食べられるピクルス、そのまますぐに使える赤ピーマンの瓶詰め、ラベルがいかにも東欧風のワインの数々、お酒に強いユーゴスラビアの人たちが愛飲する蒸留酒などが並んでいる。値段も、たとえばソーシソンがキロ60フラン前後などと手ごろなので、破産せずに新しい食材の発見ができる。(実)
*たとえばオススメしたい店はZlatibor : 14 rue des Goncourt 11e
A LA VILLE DE BELGRADE
Adresse : 153 quai de Valmy, 75010 Paris , FranceTEL : 01.4607.6093
火曜休み