私が通い始めたころは、フランス南西部出身の気のいい小柄なご主人と奥さんが店を切り盛りしていたのが、世代が交代し、料理好きな兄が厨房を、ラグビー選手で社交的な弟がサービスを、と息子二人が役割を分担して最近店を継いだ。
久しぶりに訪れたこの夜は、景気がよかった時ほど写真家風の客は見当たらないにしても(店のすぐ横がプロ専門の現像所)、なかなかの盛況。メニューとお腹の空き具合とを相談しながら、私とやはり常連のジャンヌは120フランの定食に決める。5種類ある前菜と主菜の中からジャンヌは兎肉とセープ茸のテリーヌ、そして大好きな仔羊のグリルを、私はご主人の故郷に近いランド地方のサラダと、シェリー酒のビネガーで仕上げた仔牛のレバーステーキを頼んだ。ボトル65フランという「今月のワイン」の魅力的な値段を横目に、料理に合うと薦められた85フランのマディランで一日の終わりの疲れを少しずつ解きほぐす。ジャンヌのテリーヌは茸の風味がほどよくきき、私のサラダも鴨の胸肉と詰め物をされた首の薄切りのねっとりした感じがサラダ菜とよく調和している。そこへ主菜の登場。なんと立派な量で、見たとたんジャンヌは「復活祭に羊を食べなくてもいいくらい!」と冗談なのか本気なのか…ため息をつきながら…全部たいらげた!メニューに入っていたデザートでやはり南西地方名物の、アルマニャックに漬けた果物入り薄皮パイ croustadeで食事の仕上げ完了。 ごちそうさま。 (海)
LA CHAUMIERE
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