35時間制は革命的 ?

 オブリー連帯・雇用相が、35時間時短法の旗を掲げてジャンヌ・ダルクよろしく、失業という世紀末の社会悪に立ち向かう姿はまさに勇敢そのもの。仏経団連にあたる、CNPF(仏全国経営者評議会)はタカ派セリエール代表を先頭に反撃のゲリラ戦。左翼政府による強制的時短法に大反対のセリエール代表は、「35時間制を強行すれば、企業は倒産、失業はさらに増大!」
と、 危機感を煽る警告を繰り返す。
 1月28日から戦場は国民議会に移され、保守野党陣(UDF/RPR)は1500近い修正案を用意し、法案の切り崩しにかかったが、2月10日の採決で賛成316、反対254で可決された。
 35時間法案は、2000年からは雇人20名以上の会社に、2002年からはそれ未満の小企業にも適用される。経営者達がパニックになるのもこの辺にある。そして、今からでも失業率を下げたいオブリー雇用相は、98年から時短して社員数の6%相当を新採用する企業には社員1人当たり年9000F、年々1000Fづつ減らし、2002年以降は5000Fの補助金を出すという奨励策を捻出。さらに社員の6割以上を未熟練労働者が占めている企業には、労働者1人につき企業負担の社会保障費(税込給与の38~41%)を4000F軽減。そしてさらに35時間を32時間に時短すればプラス4000F…、お金で経営者を釣ろうとする政府の計算ずくが鼻につかないでもない。
 この種の雇用奨励策としてはすでに、97年以来ロビアン法が施行されており、 10%の時短で社員数の10%を増員した企業には社会保障負担率を30% 軽減している。すでに約1500社がこの法令を利用し、約20万人を雇用。
 しかし、 35時間制が布かれた後も39時間労働を続ける場合、 4時間の残業手当として25%または50% 増しの給与を出すのか。時給39.6FのSMIC(最低賃金)は35時間で計算するのか。あるいは給与額を下げずに、時短による実質11.4%の賃上げを経営者側に受け入れさせ、その代わりに数年給与を凍結するのか。公務員も35時間制になるのか。そして、年単位のフレックスタイム制が一般化したら、ある時は週50時間、ひまな時は25時間と、季節労働者なみになるのか。すでにスーパーなどでは不規則な時間帯を強いられるパートも増えているのだが…。
 失業対策としての時短の是非を論じるとき、よく話題になるのは、この15年間で失業率を15%から7.4%に半減させたオランダと、サッチャー式リベラリズムにより91年に12%だった失業率を5年間で6% に下げた英国の例だろう。オランダは女性のパート化の推進(37%)と、障害年金受給者を水増し(市民の20%以上)することによって失業率を半減させた。最低賃金制のない英国には低賃金化の歯止めもないわけだが、低賃金労働をするよりも手当で食いつなぐほうがまし、という手当受給者が元炭鉱地域などでは25%にものぼるという。また、米国のように労働市場の自由競争による低失業率(4.5%)の例も挙げられよう。
 しかし、オブリー雇用相の補助金付き35時間法案からは、残りのチーズを細分して食いつなぐネズミのイメージしか浮かんでこないのである。 (君)

 

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