新鮮なショック Omelette 監督:レミ・ランジュ

 『オムレット/Omelette』は、8ミリで撮影された映像を16ミリにブローアップした極めてアマチュアっぽい作品である。シネマ・ディレクトというか、ドキュメンタリーというか、実験映画というか、個人映画というか、日記映画というか…それら境界線のない全ての要素が混合しているのだ。
 カメラを回しているのが監督のレミ・ランジュ。出演者は、本人とその家族、恋人のアントワーヌと、二人の友人たち…つまりレミにとって大切な人々。8ミリは監督にとって、心情の吐露を記録しておく日記帳の役割も果たせば、周囲とのコミュニケーションをはかるための媒介にもなる。何故もっとハンディで便利なビデオを使わないのかというと、それは、フィルムの感触が何物にも代えがたく好きだからだ。確かにフィルムは、そこはかとないノスタルジーのようなものを喚起する。
 レミはホモだ。アントワーヌと同棲し始めて何年かが経つ。彼らの周囲にはエイズに感染してる者もいる。そんな友達のことを記録しておきたい。そして家族にいつかは、自分のことをきちんと伝えておかねばならない。レミは8ミリカメラの存在に頼りながら、母、祖母、姉、そして父、一人一人に自分のホモ性を告白すると同時に、彼らのリアクションを記録する…赤裸々で、残酷性もあり、でもユーモアもポエジーもある。映し出された人々がみんな美しく見えてくるのは何故だろう? とにかく、偽善的なフィクション映画に麻痺した目に、新鮮なショックを与えてくれる作品だ。    (吉)


◆ Le gout de la cerise
昨年のカンヌ映画祭でグランプリをとったアバス・キアロスタミの Le go柎 de la cerise が公開中だ。自殺の最後の面倒を見てくれる誰かを探しながら、テヘラン郊外の埃だらけの荒れた丘を車で行き来している中年男。いろんな人間との出会い、キアロスタミ特有ののロードムービーだ。「首を吊ろうとして枝に縄をかけようとしたら、果物がなっている。んだ。それを食べたらとてもおいしかった」と語るトルコの老人が感動的。死を考えたとたんに輝き始める世界の美しさ! この作品も隣で(吉)さんがいっているように「偽善的なフィクション映画に麻痺した目に、新鮮なショックを与えてくれる作品だ」

 

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