マンモス対ボルケーノ

 風貌はクマに似ているけど、同僚の間では “ボルケーノ” (活火山) のあだなで呼ばれている地球物理学者、アレーグル教育相。ボルケーノ氏は親友ジョスパン首相に任命され発憤、安眠し皮が厚くなるばかりのマンモスことフランスの教育制度を根底から改革、つまり「マンモスの脂肪を削りとる」決意を 6月に宣言している。
 マンモスにショック療法を施す前に、まず地ならし。アレーグル教育相は、若年層の雇用対策の一環として、大学2年過程卒の若者4万人を小・中学校の監視・指導員として雇用。ジュペ前政府により閉鎖されるはずだった過疎地の幼稚園・小学校の800のクラスを再開。さらに新学期の児童手当てとして、平均所得以下の約300万所帯に1人当たり1600Fを給付し、98年度の教育予算も 3% 増額。
 さすが、ジョスパン首相と以心伝心の仲だけあって、実行力のある大臣という印象をまず国民に与えたのはいいが、ボルケーノが火を吹き出したら止まらない。アレーグル教育相が次から次に放つ爆弾発言ときたら、「ソ連赤軍みたいな仏教育界、マンモス」から始まって、「ガマンならないのは教員の欠勤率12%! 病欠をまるで権利みたいに思っている」(翌日ラジオで6%と言い直す)、「学校休暇が 4カ月もあるうえにバカンス明けに研修休暇に出る教員がいるとは!」と挑発的な一連の発言。これでは教員の怒りが爆発するのも当然、教育相が本気で言っているのかそれともボルケーノ流先攻作戦なのか、教員たちの不信感はつのるばかり。
 さらにアレーグル教育相は「欠陥ゼロ」を掲げ、教員組合との円卓会議に臨む。教育相によれば、 1%の欠陥は約13万人の児童に影響が及ぶから、ゼロを目指さねばならないという論理だ。いままでの教育相たちが教員組合を立てて「共同管理」で改革にあたってきたのに対し、アレーグル教育相は硬化した官僚制を削ぎとることを目指している。管理部門の再編成と地方分散化もその一つだ。
 一方、教育相と教員の攻防戦を傍観する父兄と生徒だが、誰でも一度か二度は教員の病欠や産休又は研修休暇で数週間、長い時には2カ月もの間、代理教員も派遣されず自習時間を送った経験がある。私の息子も中三の時、英語の教師が2カ月病欠したので父兄たちと校舎を占拠し、「代理教師要求」と大書した敷布を校舎正面に張ったりしたものだ。だから言わなくてもいいことまで「事実をありのままに」言ってしまうアレーグル教育相が、父兄たちの常々思っていることを代弁してくれていると見る層も多い。
「なによりも子供が第一」と切り込むアレーグル教育相だが、百万人の教職員を向こうにまわして、どこまで改革が可能か。長期病欠や産休時の代理教員の問題、教員研修、通算4カ月におよぶ世界一長い学校休暇等、教員たちの既得権も絡んでいるだけに、ハッタリでは乗り切れない。それともあたって砕けろボルケーノ?  (君)

 

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