Q:メニューはどのぐらいの頻度で変えるんですか?
山:朝の仕入れによってですね。全部は変えませんが、なるべく変えるようにしています。季節に合わせてとか。注文も全部自分でしていますし。いい魚が入ったらその日のうちに、とかね。毎朝リストが送られてくるので。
Q:パリですらも魚屋に行くとあまり魚が綺麗じゃないな、と思うんですがどうですか?
山:いや、魚屋は本当に選ばなきゃだめです。でも今は本当にいいですよ。来たときはひどいと思いました。
Q:この前のタコなんかはどういう風に注文するんですか?
山:そのまま丸ごとで買います。
Q:すると頭は別のものに使ってとか。
山:そうです、出汁を取ったり。その出汁を使って煮込むんですけどね。
Q:先ほど今のお店のお料理は、イタリアンのようでフレンチのようで、そして和のテイストも入るっておっしゃっていましたよね?
山:昔、茶碗蒸しとか出しました。茶碗蒸し、というかブイヨンからとって、まあいわゆる出汁というわけではないですけれど。日本のテクニックをフランス料理に入れる、ということはやりますね。
Q:日本の出汁は?
山:取らないです。
Q:お醤油は?
山:今は使っていないですね。
Q:昆布系?
山:たまーに使います。
Q:それからお酒。
山:使いますね。味噌なんかもたまーに使ったりしていましたけれど。
Q:ここは一般の人たちにはイタリアンだと思われているんですよね?
山:ええ、でももともとは名前も違ったんです。始めた頃はPacchioパキオという名前でした。
Q:その意味は?
山:わからないです。
Q:オーナーさんはイタリア人ですか?
山:違います、ファビアンはフランス人です。
Q:するとなぜ彼はイタリア料理をやりたいんだろう?聞いたことありますか?
山:いや、ないですね(笑)。
Q:山本さんは日本でフランス料理とイタリア料理の両方をやっていらしたでしょう、この二つの料理の違いというのは何だと思われますか?
山:うーん、僕個人の意見では、フランス料理というのはテクニックの料理だと思うんですよね。そしてイタリア料理というのは、なんだろう、食材の料理じゃないかと思います。だからそれを混ぜちゃえば、僕の理想が出るんですよね。
Q:なるほど。理想の料理というのはどのような料理?
山:素材が大切。僕はあまりガストロノミーの料理が好きじゃない。昔はやっぱり憧れはしましたけれど、例えばアスパラガスの皮を綺麗に剥いて、綺麗に飾って花を添えるとかね。でもそういう料理に僕は全然興味がないんです。本当はもっと、友達とか家で食べるような、お皿にバーンと盛り付ける料理の方が好きなんですよね。だからここでも多分3工程ぐらいしかやらない。もちろんそこにテクニックは必要なので、そこに到るまではテクニックを入れつつ仕上げる時にはシンプルに、というのが今では僕の理想の料理です。
Q:もしも転機があったとすれば、やっぱりピエールさんとの出会いだったと思いますか?素材とか食材の大切さということで言えば。
山:そうかもしれないですね。もともとインパクトがある人なので(笑)。
Q:それにしても厨房はそれほど広くないですよね?
山:狭いですよ、むちゃくちゃ。でもVIVANT CAVEの方がずっと狭かったです。システムも全然なかったし。まああの時には隣に店があったのでそちらで仕込みをしながら。
Q:どうですか、今、このお店でやっていて?
山:楽しいですよ。
Q:これからこのお店でやりたいことはありますか?
山:うーん。
まあいずれ自分の店はやりたいと思っています。だからこの店でやらせてもらえることはチャンスだな、と思います。
Q:1から10まですることが自分の肩にかかっているというのは初めてのこと?
山:そうですね、責任感はあります。
Q:今はオーナーじゃないけれど、今日はお客さんが多いな、少ないな、なんてことも。
山:もちろん考えますよ、仕入れにも影響してくるし。
Q:そういう意味では大変ですよね。ところで料理のアイデアというのはどういう時に湧くものなんですか?例えば朝、歯磨きをしている時、とか?
山:いや、決まってないですけれど(笑)、いつも考えてはいますね。それから僕は食べに行くのが好きなので、やっぱり休みの日にはどこかしらに食べに行って。知り合いの店が多いかな。こういう小さなレストランの仲間とは繋がっているので。
Q:そしてみんな自然ワインを置いている。
山:そうですね。そういうところで情報をもらったり、仕入れの情報なんかも。彼らもこの店に食べにきてくれるし。
Faggio Osteria
Adresse : 75 rue de Rochechouart, 75009 ParisTEL : 01.4036.0622
アクセス : M° Anvers, Barbès - Rochechouart
12h-14h30 / 19h-22h30 火水休み