近代細菌学の開祖ルイ・パスツール(1822-95)の家を修復するため、フランス文化遺産基金と科学アカデミーは寄付金を募集中。仏東部ジュラ県ドール市にはパスツール博士の生家があるが、修復が予定されているのはそこから34km、アルボワ市にある博士が幼少期を過ごした家だ。1935年から記念館として公開されている。ルイの父親は家業の革なめし業を継ぎ、1933年革なめし工房だったこの川べりの家を買って移住。ルイは博士になって各地で教鞭をとるようになってからもここでバカンスを過ごした。
父親の死後、博士は家を改築。広い食堂に当時珍しく衛生的なリノリウムを敷き、浴槽つきバスルーム、ビリヤード室を設けた。ナポレオン三世からぶどうの病気の対処法を求められると隣の家を買ってラボを設置。博士が実際に使った研究室が現存するのは、もうこの家のみとなっている。上階の図書室は現在は未公開だが、この修復を機にエレベーターを設け障害者のアクセスを可能にするという。博士がバカンス中にゲートボールで遊んだ庭も整備される予定で、総工費90万ユーロ。うち35万ユーロを寄付で募る。発酵研究、狂犬病ワクチン開発、低温殺菌法など多くの研究で人類の生活を変えた学者は、来年、生誕200周年を祝う。
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