M子さんは1953年東京生まれ。父親は出版業からテレビ報道記者に転向。母は若い時から活動家でK市の元市議会議員。現在90歳の母は熱海に住み、自伝を執筆中。M子さんは早稲田大学法学部卒。木材店の後継ぎと結婚、夫の事業が倒産し長女が3歳の時、離婚。西武の人事課に勤務し、30歳の時、娘と来仏。パンテオン脇の法学部で国際私法を学ぶ。
フランス語はどこで学ばれましたか?
高校時代から日仏学院、パリでは個人授業です。来仏後ジュネーブの国際労働機関 (ILO)に3年、軍縮研究所に2年務めました。その頃、日本領事部にいたH氏と知り合い、再婚しました。87年に妊娠7カ月で次女を出産しましたが、小学校時代に行動障害ということで、ベルギーの施設でセラピーを受けています。費用はフランスの健康保健と社会保障が負担してくれます。40歳の時、離婚し、リヨンで日本レストランを開いたのですが、あまりにもしんどくて3年で閉めました。その後、通訳やローヌ・アルプ地域圏議会の日仏交流日本部にいたこともあり、シラク大統領時代のリヨン・サミット中、元首夫人たちのガイドや通訳もしました。レストランの常連となった当時60歳の未婚の仏人男性と親しくなり、今はリヨン郊外の彼の家の庭園で香草や薬草を栽培し、ハーブティーや手製ジャムをパリ11区の私の店舗で販売しています。
今のパートナー A は20歳年上ですが、技術分野の元教授です。孤独を好むタイプで今は86歳ですが旅行ばかりしています。この夏はアルゼンチンに行くそうです。私は4歳からピアノを習い、若い頃から歌うのが好きで、高校時代はシャンソン、今は十数年前からセーヌ・サンドニ合唱団でフォーレのレクイエムやロシア語で歌うムソルグスキーの曲なども歌い、親友のロシア人に発音を直してもらえます。
昨年、脳腫瘍の手術を受けましたが、今はとても元気です。年をとっても自分の好きなことをできるのが一番の幸せと思っています。長女は日本で高校と東洋大学を出て、今年40歳になりますが、東京でフランス語を教えています。彼女によれば、日本の男性は面白くないというのが本心らしいです。でも居心地がいいのでしょう。