昨年の夏、ヴィンセント・ヴァン=ゴッホが最後の作品 「木の根と幹」を描いた場所が確定され話題になった。その「根」が自分たちの敷地内にあったセルランジェ夫妻は、ゴッホが好きでここオヴェール・シュル・オワーズに引っ越して来たくらいだから、喜びもひとしおだった。7月末、オランダのゴッホ美術館館長、ヴィンセントの弟テオのひ孫らが参加しての除幕式が行われた。しかし場所確定からほぼ一年経つ今も、「根」は板塀に覆われたままで見ることができない。
世界からやって来るゴッホ巡礼者が、ゴッホが自殺をはかる数時間前に描いた「根」を見られるよう塀を撤去し、ゴッホ研究所が安全性を保証する柵で囲むよう、夫妻はオヴェール市に許可を申請したが下りない。それどころか市は、根があるのは公道であると主張した。測量技師会も介入し、夫妻の土地内だという判断が下されたが、市は文化省の判断を待つとしている。夫妻は市との不毛な論争により、美術史上の大発見をゴッホ好きの人たちと分かち合えない理不尽を説明するサイトを立ち上げた。www.vangoghroots.com
- 46 rue Daubigny 95430 Auvers-sur-Oise (ゴッホが宿泊し没したAuberge Lavoux から150m)。
- 『木の根と幹』が描かれた場所を特定したのは20年来ゴッホ研究を続けるヴァウター・ヴァン・デア・ベーンさん。この発見の経緯を書いた本を無料で公開中。https://arthenon.com/boutique
- Youtubeチャンネルもゴッホファンにおすすめ:Wouter van der Veen